Marumaru's TinyPlaza

(2025.04.02)(book)卯月の雪のレター・レター

『卯月の雪のレター・レター』/相沢沙呼


『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の作者の短編集。mediumより6年ぐらい前の作品のようです。

ですが、読んでいてすぐに相沢沙呼が書いたという雰囲気を感じました。mediumでも感じたのですが、この作者の描く文章は絵で言うと主線を感じます。同時に色のついた硝子のような透明感のある色彩を見せてくれます。

描かれている内容は、二人の女性の関係やとりまく環境を描いた短編です。様々な年齢、様々な境遇の中で生きている女性に視点を当てた物語。もしかすると百合なのかもしれませんが、愛情とも友情とも違う、日常系でもない、ゆるふわでもない。世界の中、たまたま歩む運命が交差した二人の物語を舞い散る桜のような儚さで描いています。

そして、最後の一文が心地良い読後感を与えてくれました。最後の一文って本当に大切ですよね。

この本、表紙の装丁がとても素敵で、淡い桜色をバックに顔がはっきりと見えない女性たちが手を繋いで輪になっています。まさにこの本を象徴するような表紙でした。

何より感動したのが、本を読んでいる途中、本の間からはらりと零れた桜色の栞を見つけた時。この栞が、本当にこの物語を象徴する一葉に思えました。

作者のWikipediaを眺めていた時に偶然目に留まった本でしたが、とても素敵な出会いでした。




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