Marumaru's TinyPlaza

(poem)077_into the rain

「into the rain」

私と景色の間に雨があって
私の周りを音が落ちてくる
足元に波紋が広がって
辺り一面空色の鏡

冷たい雨が遠い音が
伸ばした手も
こぼれた声も
さえぎる壁になって
傘の中は小さな箱庭になる

誰にも邪魔されない
誰にも届かない
私だけの世界

雨の向こうに誰かが居る
おぼろげなシルエットが浮かんで
唇が何か言葉を紡いでいる

走って近づいても
声は姿は霞んだまま
私の周りには雨があって
傘の外は別の世界だから

それでも
近いようで遠くにいるあの人の
姿をこの目で見たい
声をこの耳で聞きたい
体をこの手で抱きしめたい

どうしたら願いは叶うの

雨が止むまで待てば良いの?
雨の中を駈けて行けば良いの?

止みそうもない雨の中
きっと止まないって分かってる雨の中
恐る恐る傘を放り出す

驚くぐらい冷たい
思っていたよりずっと痛い雨の中
あの人の姿はもう目の前に無かった