Marumaru's TinyPlaza

(2017.04.10)(book)狼と羊皮紙

『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』(2巻まで)/支倉凍砂


「狼と香辛料」は私が最も好きなライトノベルのうちの一つなんですが、先日、綺麗に完結したその作品の続編が出ている事を知人から聞いたので、早速近所の図書館で借りてきました。

最初は綺麗に完結した作品なんだから、続編は蛇足なんじゃ……という不安もあったんですが、どうやら杞憂だったみたいです。

「狼と羊皮紙」は行商人をやめ、ニョッヒラで湯屋を営むロレンスが出会った少年コルと、ロレンスとホロの間に生まれた娘、ミューリのお話です。ロレンスとホロの関係は成熟しきってしまった感があるので、世代交代をして、関係をリセットというところなのでしょうか。

違うところと言えば、人より長い時間を生きる賢狼ホロと人間であるロレンスの関係は、完全に姐さん女房でしたが、ホロの血を継いでいるとはいえ、まだ子供らしい部分もあるミューリとは、年下のおてんば娘に言い寄られている感じでしょうか。そして、ミューリはかなり積極的なアプローチをコルに対して行っています。この辺りも楽しめました。

全体的に落ち着いた雰囲気の「狼と香辛料」と比べて「狼と羊皮紙」は比較的賑やかで元気な感じでした。年齢も性格も違うから雰囲気は違って当然なんですが。

そして、このシリーズの見所だと思っている、会話による駆け引き、そして、ひょんな事からその地方のゴタゴタに巻き込まれてしまい、それを武力ではなく会話で解決するどんでん返しな展開も楽しめました。

それぞれのシリーズの主人公の職業による解決手段の違いも興味深いです。ロレンスは商人なので商談で、コルは聖職を志すものなので布教によって、交渉を行っていくのが面白いです。

あと、相変わらず食事シーンの美味しそうな事と言ったらっ!!このシリーズを読むと、例外なく、葡萄酒(≠ワイン)とパン、そしてチーズやハムのようなものが食べたくなってしまいます(単純)。

余談ですが、このシリーズの巻頭に描かれている手書き風の暖かみのある地図にそれまでの巻に登場する地名が書かれていて、物語が進むにつれてどんどん増えて行く地名にワクワクしたんですが、この地図、どこかで同じようなものを見たような気がしてずっと気になっていたんですが、やっと分かりました。フォーチュンクエストの地図を見た時の記憶が残っていたみたいです。



(2017.04.22)(movie)名探偵コナン から紅の恋歌

『名探偵コナン から紅の恋歌』


劇場で見た予告編でピンと来たので観てきました。

百人一首がテーマだったんですが、百人一首と京都のプロモーション映画という印象でした。

脚本は、伏線が消化も含めて綺麗に扱われていて驚きました。コナンってこんなにストーリーを練ってあるんだと驚きでした。下手な2時間ミステリや小説よりは綺麗だった気がする。ただ、2時間というコナンのアニメ映画の中で展開していたから、ちょっと駆け足気味だったのが残念でした。

大岡 紅葉の演技が上手だと思って調べてみたら、ゆきのさつきさんという方でした。げんしけんの咲ねえさん役だったみたいです。声優暦が長く、色々と有名な役もされている方みたいで納得。

倉木麻衣が歌う主題歌、「渡月橋 〜君 想ふ〜」も映画の雰囲気に合っていて良かったです。と言うか、倉木麻衣って「Secret of my heart」を筆頭にやたらコナンの主題歌を歌っているイメージがあったのでちょっと調べてみたら、18曲も歌ってたんですね……。

劇場は平日昼間だったのでガラガラだったんですが、観客は女性が多かった気がします。服部が活躍する話って前情報があったから?それともコナンってもともと女性ファンが多いだけかも。


※ここからはネタバレの感想です。




















コナンの劇場版は毎回アクションシーンに力を入れていると思っているんですが(予告編は爆破をバックに、コナンが「蘭ーーーー」って叫んでるイメージ(笑))、今回はアクションの舞台が、テレビ局、崖上と小屋と比較的小ぢんまりした場所だったので、その分ギミックに凝ってましたね。テレビ局のアンテナは笑った。どこの雑技団だよ!!と。阿笠博士謹製のガジェットも、あれだけ酷使されれば本望でしょう。

ストーリーのメインテーマになっていた百人一首は、札に詠まれた歌が事件に関係しているという事もあって、競技カルタ自体にはあまり深く触れられていない感じでした。札を取る仕草の格好良さを前面に押し出して、競技カルタのイメージアップが図られているように思いました。

競技カルタ絡みで一番思ったのは、いくらストーリーの為とは言え、練習にたまに付き合っていたレベルの筋の良い素人が、名コーチの特訓があったとは言え、2日で結構大きな大会の決勝戦で高校生チャンピオンと良い勝負を繰り広げていた事。いくらフィクションとは言え、そんなに甘い世界じゃないでしょうと思わずには居られませんでした。

それにしても、紅葉さんは服部に対して積年の想いがあった割には、勘違いであっさり引いていましたね。あの三角関係は個人的にもうちょっと盛り上げて欲しかったなぁ。



(2017.04.29)(book)ノ・ゾ・キ・ア・ナ

『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』/本名ワコウ


箇条書き気味に。

例によってブラウズ中のバナー広告が気になって飛んだ先で、キャンペーン中らしく3巻まで試し読みが出来て、そのまま続きが気になったいつものパターン。

ベジェ曲線で描いたような線のはっきりした絵柄と、丁寧語で話す前髪パッツンのヒロインの魅力に惹かれました。毎回扉絵に描かれているピンナップがとても魅力的でした。

専門学校の為にアパートに入った主人公が、隣に住むヒロインと壁に開いた穴を通じた「覗き合い」を通じた交流を描いた話。キャッチーな掴みなんですが、それを軸に据えて最後まで物語を引っ張っていくので、一気に読めました。

巻数全13巻の長すぎず短すぎずの丁度良い分量。ストーリーで強いて言うなら、割と大きな伏線で一応回収はしているものの、結末が気になる部分があったところぐらい。

主人公の周りにヒロインが続々と沸いて来る90年代のラブコメ漫画のような展開が少し懐かしかった。季節の移り変わりや、卒業→就職の空気感の変化も描かれていて、直球の割には最近あまり見かけないよなぁ、と。

ちなみに青年誌連載なので、普通にH描写は入っています。と言うか、ぶっちゃけエロ本と言ってもいいぐらいの頻度で入ってはいますが、ちゃんとストーリーに沿った形で入っているので、その部分も含めて良かった。

仙道ますみ、原秀則あたりが好きなら楽しめそう。




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