Marumaru's TinyPlaza

(2024.03.07)(book)可燃物

『可燃物/米澤 穂信


新聞で広告を見かけて、『氷菓』の人の本だ!と言う事で図書館で借りてきました(今だと黒牢城の方が印象強いかも)。刑事もののオムニバス。

事件が起こって様々な状況や人間関係が出揃う中で、でも真相にたどり着けない。そんな状態の中で最後のピースを見つける事でバラバラだった事象が一気に繋がって事件解決に繋がる。そんなカタルシスに特化したような物語が多かったです。

なんですが、派手な展開と言うわけではなく、地道な捜査での証拠集めからの閃きと言った感じで、割と淡々と進んでいきます。

エピソードの一つで、スキー場での殺人事件というのがあり、凶器が見つからない、凶器は円錐状で鋭利なモノ、みたいな情報から凶器を探すっていう展開があり、最初にこの情報が出た時からずっと「氷柱が凶器で殺害後に溶けたんだろう」っていうミステリの定番ネタをずっと思い描いていたんですが、いい意味でミスリードされました。ちゃんとヒントが出ていたのに……悔しい。



(2024.03.08)(book)AI(アイ)に負けた夏

『AI(アイ)に負けた夏』/土橋真二郎


『生贄のジレンマ』等を書かれている土橋真二郎先生の本。この作者の作品は結構突飛な展開があるから、意識を物語の世界に向け、想像力で作品の世界に入り込めるとハマる。

うん。面白かった。内容もだけどテーマ的にかなり好み。距離や時間を越えて伝わる想いはあるのか?という初期の新海誠監督作品のような問題がテーマの一つなんだけれど、その解法の一つをAIとネットワークによって提示しているところが面白い。

そして、もう一つのテーマであるアンドロイドとの恋愛について。ボディを他人の意識をアウトプットする為の依り代として利用する事が可能な世界だからこその展開は新鮮だった。

内容は色々と物語的な盛り上がりがあったけれども、最後は分かりやすく感じに落ち着いたな、と。だからこその爽やかな読後感。

しかし、アンドロイドとの恋愛は憧れであり一種の理想であるけれど、アンドロイドが人間の代わりになり得る世界ってのは、娯楽が溢れて恋愛の優先度が下がる世界の究極系な訳で、出生率的な意味で怖いところはある。

ただ、そうなる頃にはアンドロイドが人間の代わりの様々な労働力になっているだろうし、出生率も、体外受精技術の発展で、恋愛と生命が生まれる事は切り離されて考える世界になっているかもしれないから、バランスはとれるのかも。……人間の仕事が残っているのか?言う問題を除いて。

ここ数年で生成AIを始め、シンギュラリティの兆しが見えてきているけれど、2017で描かれる近未来まではまだまだ遠いなぁ、と。人生の最後はVR空間か隣に寄り添ってくれるアンドロイドと共に迎えたいと思っているので、早く技術が進歩して欲しい。

なんか本の感想って感じではなくなったけど。

さて、他の人の感想を読むか。




<(2024.02.17)(book)アリアドネの声 (2024.04.13)(book)有罪、とAIは告げた>