Marumaru's TinyPlaza

(2018.01.04)(book)たそがれたかこ

『たそがれたかこ』/入江 喜和


明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願い致します。


年明けに友達と話している時にお勧めしてもらった漫画です。

年老いた母親と同居している45歳バツイチ女性が主人公のお話。人付き合いが少し苦手で、毎日の生活の中で未来が見えない主人公が、近所にある小洒落た居酒屋(とそのマスター)、そして偶然ラジオで聞いたバンドとの巡り合わせに日常が少しずつ変わっていく話です。

45歳ねぇ……遥か遠くに見えていたような年齢ですが、気づけばもう目の前に迫っていて、手を伸ばせば届きそうな、流れる時に背中を押されるままにその場所に辿りついてしまいそうな年齢です。親も年だし。

世紀の大恋愛でもなく、血沸き肉踊るファンタジーでもなく、かと言って世界中を股にかけたサクセスストーリーでもない。本当に身近な話。若いから青春なのではなくて、好きなものがあって、それに向かっていける情熱がある事が青春なんだと教えてくれました。

好きなものが出来て、それを声高らかに叫ぶ事で新しい出会いが生まれるかもしれない。そして好きな事がある事で内面が元気になれば、外見も変わって考え方が変わる。それは生き方をほんの少し違う方向に変えてくれるかもしれない。有名な格言みたいな事を身近な世界の中で表現してくれるお話でした。

ラジオで知った「ナスティインコ」というバンドにハマッて前向きな気持ちになるタカコ。そしてその気持ちがキッカケで出来た現実世界での巡り合わせ。その二つが交じり合って少しずつ変わっていくタカコとその周りの世界が非常にリアルでした。

かと言って、順風満帆ではなくて、色んな困難が舞い降りて苦労が耐えない毎日の中で、それでも自分で好きなものは好きだって胸を張って言って、好きなものへ続く道を選び続ける力を持ち続ける事が青春なんだと思いました。

自分の人生、年を重ねるに連れて過去を振り返る事が多くなるかもしれませんが、目の前に2つの選択肢があったら楽しそうな方・派手な方を選んで、「それでいいのだ!」と自分の選択に自信を持って行きたいものです。作中の展開の意訳ですが、自分には無理かもしれないような派手なものが選択肢に挙がった時点で、自分はそれに興味を持っているんだから、だったらそっちを選べば良いじゃないか、と。

それと、主人子のタカコが引っ込み思案で人見知りな割に、たまに爆発して突拍子も無い事をするのが面白かった。勢いで買ったエレキギターでバンドをする夢は叶うんだろうか……。いきなりバンド漫画が始まったらどうしようかと読んでて思いました。

余談ですが、劇団員のマキちゃんがとても魅力的でした。小悪魔すぎる。



(2018.01.05)ジム(サンダーボルトVer)を作った

元旦にイオンの初売りに行ってガンプラを買ってきたので、正月休みに作っていました。

作ったのは、HG 1/144 RGM-79 ジム (機動戦士ガンダム サンダーボルト)です。最初はギラドーガかジェガン、もしくはνガンダムかクシャトリヤ辺りを頑張るかなーとか思いながら眺めていたんですが、このジムに一目惚れしてしまいました。サンダーボルトは未見なんですけどね。

シールドからライフルを構える構図が好きなんですが、それが両腕で出来る……つまり格好良さも2倍!?とテンションが上がっちゃいました。だって可能性感じたんだ!

写真だとコントラストを上げたせいでえらく真っ白になってますが、本当はもうちょっと灰色が入っています。しかし、ジムなのにカラーリングのおかげで主役を張れそうな感じです。

まごう事無き素組みなんですが、もともとのプラスティックの色が6色あるので素組みでも見栄え良かったです。全体的に落ち着いたトーンでまとまった配色が好みです。本当に最近のガンプラってすごいわ。

正面から。シールドを支えてるパーツの稼動域が思ったより狭いので、凝ったポーズは取らせられないのが残念ですが、その分手足の稼動域が広いように思えました。しかしこのジム、遠距離特化機体みたいでビールサーベルが付いてないんですよ。ツイン盾で守りながら遠距離砲撃で戦線を切り開く……何この格好良いジム。

それなりに時間はかかっちゃいましたが、2個目という事もあり、少しはガンプラに慣れたかもしれません。ヤスリでシュッと一撫ですると驚くぐらいに平らになりますね。イオンでもう一体ガンプラを買ったので、そちらも追々組んで行けたらと思っています。



(2018.01.25)(book)弟の夫

『弟の夫』/田亀源五郎


今度、NHKでドラマになるらしい漫画。作者の名前はネットをやってる人ならどこかで聞いた事がある人が多いんじゃないかな。BLではない、所謂ゲイ漫画を描いてる人の一般紙での作品で、同氏のエッセイ本を書評で見かけて、そっちを読んでいる時に、この本の事を作る為の話が掘り下げてあったので先にこちらから読みました。

で、感想なんですが、これ道徳の教科書に丸ごと載せれば良いんじゃないかな?と言うのが素直なところ。

主人公の弟はゲイで、同姓婚が認められているカナダで結婚をしていたんですが、シングルファザーで娘を育てている主人公のもとに、先日亡くなった弟の"夫"が現れるところから始まる話。

最初は、この作者が描くごっつい男性の同姓婚の話に、正直ちょっと引いていた部分があったんですが、主人公がまさにその立場の人で自分の分身のような立ち振る舞いをしてくれました。そして、主人公の娘が子供ならではの非常にニュートラルな立場。

面白いとか面白くないではなくて、自分の周りに存在しないとなかなか身近な存在として考えたり想像したり出来ない概念について、家族という深い繋がりをもつコミュニティを舞台にして、様々な立場の人を交えながら考えを語ってくれた作品です。

LGBTに限らず、大人と言う体のいい蓑を何時の間にかかぶっていると、自分の知らない概念について最初は無条件に突っぱねてしまうものです。だけど、まずはその事について真剣に考えて、想像をする事から何事も始まるのだな、と。自分の中に概念を落とし込んだ時に、それでもやっぱり理解をする事は出来ないものもあるかもしれない。だけれども、自分の大切な人を取り巻くその概念を受け入れる事は出来るかもしれない。

大きく言えば社会のルール・法だったり、身近で言えば世間体だったりで、自分より大きな枠組みが決めている事だからと無条件に善悪を決める事は簡単です。けれど、それは流されているだけであって、自分で考える事を放棄しているのかもしれません。

自分で考えた末に辿り着いた答えが、社会・世間が現状において良しとするものと違ったとして、それでも自分が大切なものの為に、自分の答えを回りに向けて発言する勇気があるんだろうか。そんな事を考えました。

当然、考えた末に自分の中に仕舞っておくというのも立派な答えです。が、この本はその答え(=敢えて言う必要はない)に対して、「どうして、敢えて隠すの?」と疑問を投げかけているんです。この「敢えて言わない」と言うのは非常に日本的な考えです。迷ったら言わない方が角が立たない、という非常によく分かる考えです。ただ、それを「敢えて隠す」と感じるぐらいに自分の身近な事として考えている。この本が語っているテーマはそれくらいに大きな事なんだ。と思いました。




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