Marumaru's TinyPlaza
(2021.05.30)(book)追憶の夜想曲(ノクターン)
『追憶の夜想曲(ノクターン)』/中山七里
贖罪の奏鳴曲の続編。
やっぱり面白い。伏線の張り方が本当に綺麗。無駄な登場人物が一切居ない構成。唐突に始まった物語・事件・弁護の繋がりが分かった時はゾクっとした。巻を跨いで一つのテーマが根底にあるんだよね。一見理路整然と語られている事象の裏にドロドロとした思惑があるっていう生々しさが面白い。
しかし、これは絶対にひっくり返らないでしょう、っていう事件を最初に見せつけてから、証拠を集めて裁判をひっくり返していく感じはまさに逆転裁判。完全に完結してこれ以上何も言う事がないような事件のほんの僅かな違和感。そこから糸口を見つけて事件の裏にある真相を暴いて物語をひっくり返すっていうカタルシスが気持ちいい。
しかし、この終わり方だと、次の巻以降どうやって話を進めていくのだろう、と。
(2021.05.31)(book)恩讐の鎮魂曲(レクイエム)
『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』/中山 七里
相変わらずタイトルが秀逸。読み終えた後には、この物語のタイトルはこれしかないと思ってしまう。
前巻の終わり方からして、もうこの主人公は弁護士続けられないでしょ!って思ったものだけど、普通に続けててた。相変わらずの伏線の張り方、どんでん返し、本当に読んでいて気持ちいい。
しかし、最初に「いやもうこれ、何も逆転できる要素ないでしょ」ってところからの逆転劇や登場人物の過去に迫っていく感じ、ある種の王道パターンを感じるんだけれど、王道を上手く料理して気持ちよく食べさせてくれるのはエンタメの極致。読めば読む程に逆転裁判シリーズを思い出してしまう。
それにしても、知らない言葉が出てきて辞書を引いてる時にすごく喜びを感じる。知らない事多いなぁっていうのと、新しい単語を文章の中の生きた表現として知ることが出来るのは幸せ。余談だけど、この作者って「噴飯」って表現好きなのかもしれない。色んな登場人物の言葉で出てくる……んだけど、噴飯と聞くと土山しげる先生の「噴飯男」が浮かんでしまう。