Marumaru's TinyPlaza

(2019.02.26)(movie)劇場版シティーハンター

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』


同窓会は熱くならない訳が無い!

ってことで、巷や自分の周りで大絶賛だったシティーハンター劇場版を観てきました。が、私はシティーハンターの原作やアニメをそこまで知ってる訳じゃないんです。一応、原作世代なんですけど、原作の面白さを理解するには少し幼かったので、大きくなってから後追いで部分的に知った感じ。ネットで色々と有名になった部分もありますしね。

※以下、映画のネタバレを気にせずに書いています。気にする方はご注意を。



























シティーハンターらしい面白さ、格好良さが詰まってました。まさに観客が望んでいたモノ。

何が凄いって、30年近い時間を経ての続編・劇場版です。30年前に僕らが感じた面白さ、格好良さを、時間が経ち感覚が変わった今でも同じようにシティーハンター「らしい」と感じさせてくれるのは、作り手が原作の面白さを理解して、面白さのエッセンスを現代風にアップデートしているからだと思います。口で言うのは簡単ですが、それが出来ているリメイクがどれだけある事か。大抵、時間を経てのリメイクは叩かれる事が多いですしね……。

今見ると少々くどい表現もあったりしましたけれど、それは敢えて記号として分かりやすく誇張して残したんだと解釈しています。そういったトリガーから「あー、シティーハンターってこんなだったよな」と昔を思い出して、映画を見る中で、昔のイメージと現代風にアレンジされた要素が溶け合って、30年経った今でも「シティーハンター」を観たという気持ちを感じさせてくれるんだと思います。

敢えて昔のままの部分で言うと、声優さんってほぼ以前と同じ面子…でしたよね。細かいところ確認していないので違うかもしれませんが。神谷さんを始め、還暦に近い、或いは還暦をとうに超えた人達があのキャラクター達を若々しく魅力的に演じられているのを聞くと、声優さんの凄さを改めて感じました。

と言うか、神谷さんって72歳でいらっしゃるんですね……。自分の父親より年上の声優さんがあの冴羽獠を魅力的に格好良く演じていて、もっこりとか言ってるのかーと、妙にリアルなところで尊敬してしまいました。

メインキャラを演じられている声優さん達、当時は若手や中堅だったのかもしれませんが、今だともう本当に大御所ばかりで、演技も完成されていて安心感がありました。よく今、これだけの面子を揃えたよな、と。年齢を考えるとこのタイミングはある意味正解だったのかもしれません。そんなメインキャストだからこそ、ヒロインの声や、芸人枠の声が割と浮いて聞こえてしまったんですが。

んで、音楽がね。色々と卑怯。今までの曲を作中シーンで声入り・インスト色々とありましたけど、割と自己主張のあるボリュームでかけるのは、うん、最高のファンサービスでした。正直、全部は分からないにしても、聞いたら「あ、この曲、シティーハンターだったのか」ってのもあったりして新鮮でした。有名どころの曲に関してはそりゃもうテンションがだだ上がりな訳で。

スタッフロールを見て知ったんですが、「ゴーゴーヘブン」って曲の作詞は銀色夏生さんなんですね。詩人としてしか知らなかったので、作詞をされていると知って驚きました。

最後のGET WILDは……最高のGET WILDでした(何だそれ)。このGET WILDを感じる為の90分だったと言っても過言では無いぐらい。なんか、水戸黄門を見ている年配の人の事をとやかく言えないなと。今、期間限定でカラオケのGET WILDの背景が劇場版映像に差し変わっているらしいので、これはカラオケで歌わないとっ。

しかし、冴羽獠を始めキャラクターが本当に格好いい。普段はスケベで調子者だけれど、いざと言う時は体を張って女性を守る。80年代後半から90年代前半のテンプレートのような主人公ですが、最近は本当に見かけないです。背が高くて、がたいが良く、大人の男としての魅力に溢れている。本当に同性が憧れる男主人公です。素直に格好いいもの。この辺り、剣乃ゆきひろさんが作る主人公にも受け継がれている気がします。

ただ、ストーリーに関して言うと、敵がちょっと弱かった気がします。こちらのオールスターズが強すぎるってのも当然あるんですが、それを差し引いても、感情に走りすぎて小者臭が溢れていました。若さで感情に流されるという部分も加味して26歳(テロップで見ただけなので違うかも)という年齢設定にしたのかもしれませんが……。

御国が新宿破壊に拘る理由、そして昔のひ弱な少年から今に至る経緯の理由が弱かった。その辺り全部を香に絡めて説明するのはちょっと無理が無い?香を口説いていた時点でメビウスの実証テストの話は出ていた訳だし。各国の武器商人や海坊主と戦ってた人(もしかして原作キャラ?)辺りも含めて、ちょっと敵方が魅力不足に思えました。

あと、時代柄色々とコンプライアンスに気を使ってるなーと。個人的にはフィクションだからそんなのはどうでもいいと思うんですけど、いちいち現実のルールを持ち出して叩かれる時代だから最近の創作は大変ですね。逃げてる時にシートベルトしてたり、亜衣が後部座席の真ん中に座っているのにシートベルトしてるのを見た時は新手のギャグかと思いました。

亜衣の飲酒に関しても、大学2年だから20歳の可能性がある。そして大学に行っていない(休学している可能性)とかで予防線を張っているのかな、とか要らぬ心配をしてしまいました。作中で喫煙シーンが全く出ておらず、最近の映画としては見慣れたものの、シティーハンターとしては逆に違和感を覚えたりもしたんですが、EDのスタッフロールで出していたのが各方面やキャラクターの魅力に最大限配慮をした上で入れる製作者の矜持を感じました。

で、キャッツアイ。出てくるとは知らなかったので驚きました。往年のファンには堪らないんだと思います。シティーハンターキャラとも絡みもあったし。ただ、こっちは本当に殆ど知らないので好き勝手書きますけど……コスプレおばさん感がすごい(ファンの人ゴメンナサイ!)いやー、改めてすごい作品だったんだなと。あと3人ともとても豊満な胸をお持ちですけど、最近のアニメであるような巨乳・爆乳じゃなくて、劇画調のタッチのとても官能的な胸のラインだったので新鮮でした。

それにしても、弾を避けすぎ!MADLAXかと。今回は敵の兵器が最新のドローン等々だから、あれだけ当たらなかったり、レーザーポイントで相手を補足してからの発射時間にラグがあるとどうしても違和感を覚えてしまう。劇場版という事である程度は絵面を重視した派手なアクションシーンが必要だったんだろうけど、作中で言われていたようにwarfare(戦闘)レベルの戦いに街の始末屋が生身の私服で挑むのは……。それが格好良さなのですけれど。でもまあ、兵器のプロモーションの為に敢えて当てていなかったと解釈する事にします。

ドローンで思い出しましたが、最近の映画だとドローンをアクションシーンに使うことが多いですね。最近登場した新しい概念のモノって事で分かりやすく近未来を連想出来、兵器としても使いやすいって事なんだと思います。ドローンはまだ単体で撮影や農薬散布、軽貨物の輸送等に使っているイメージがありますが、編隊を組んで兵器として運用される事を考えると、えも言われる怖さがあります。トレーズ閣下が美しくないと言ったモビルドールの原型を見た気がします。

ちなみに、このBlogは今、プレミアムモルツを飲みながら書いているんですが…仕方ないね、劇場版シティーハンター観た後だし。あと、多分ですが東芝のLet'sNoteや東京のはとバス辺りもスポンサーなんだろうなーと。

そうそう、メビウスシステムですけど、最後に破壊された時の中の基盤がえらく古い……時代を感じるようなものだったんですが、あんなので良いの?と言うか、あのPCはただの端末でメビウスシステムの本体はソフトウェアだから、どこかにデータがあるよね!?とか突っ込んでしまったのは自分だけでしょうか。

新宿駅の掲示板、作中では時代を反映してARのバーチャル掲示板、そして最後に冴子の計らいで実物の掲示板が設置されていました。今、劇場の販促も兼ねて新宿駅に掲示板が設置されているとニュースで見かけました。とても嬉しくて粋な企画だと思うんですが、悲しい事に今のご時世、特に新宿駅なんて場所では、物理的な掲示板をまともに運用するのは色々と問題があり過ぎて難しいんじゃないかと思ってしまい、それでも作中の重要なアイテムとして掲示板を扱っているところにノスタルジーを感じました。

結局、シティーハンターシリーズのオールスター同窓会の中で、獠と香の惚気を見せつけられた映画だった気がします。シティーハンターはあの頃と何も変わらず、変わったのは歳を重ねた僕らと作品を取り巻く空気だったのかな、と。キャラクターを演じる声優さんも、声は相変わらず若いんですが、同窓会で久々に集まって子供の話を嬉々としてするような、そんな雰囲気を演技から感じました。

そして、エンタメ映画は90分が良いっていうポンポさん理論をまた実感したのでした。




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