Marumaru's TinyPlaza

(2020.02.11)(book)ベーシックインカム

『ベーシックインカム』/井上 真偽


安楽椅子探偵の究極系と言うか、普通の会話の中から違和感を見つけ事件を炙り出していくようなスタイルの著者の新作。短編集です。

なんですが、今回は純粋に扱っているテーマに対する物語の作りが面白かった。AIやVR、遺伝子操作と言った近い将来に訪れる可能性がある未来の様子を描いています。

その中でも特に、最初の話が好きです。AIがテーマの話なんですが、まさかミステリ小説で形態素解析っていう言葉を見るとは思わなかった。普段はブラックボックスになっているAIが言語を習得する流れを、形態素解析を使いながら解説する流れは、言葉の扱いに長けた筆者ならでは。

最後にどんでん返しもありましたが、それは驚きというよりも、連なった短編をあるべきところに着地させる為の綺麗な流れのように感じました。

AIと会話して、最後はAIの中に芽生えた感情で看取って欲しい。




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