Marumaru's TinyPlaza
(2014.03.20)(book)シガレットアンソロジー
『シガレットアンソロジー』『シガレットアンソロジー メンソール』
煙草をテーマにした短編集。
歌を聞くと当時の記憶が蘇るように、煙草によって切り取られた場面も記憶の中には数多く存在します。
大学時代、サークルのミーティングの休憩時間に会長が窓際でカーテンに隠れるように一服していて、声をかけると「あ、気になった?ストレス溜まると吸っちゃうんだよねー」と返した彼女のはにかんだ笑顔。
同級生と冬の道で待ち合わせをした時、待ち合わせ場所に行くとバイト上がりの彼が自販機の灯りに照らされた電柱の横でマルメンを吸っていました。その時見せた疲れたようなやりきったような表情。
前の会社を辞める日、最後にどこかで飲もうと同僚に声を掛けた時、手持ちが無かったので安い居酒屋を提案したら、その人は「一緒に働いてきた一人の男が田舎へ帰ろうとしている。そんな夜に○○(安いお店)は無いだろ!奢ってやるよ!」って美味しいお店で食べさせてくれました。宴もたけなわになった時、その人は酔った顔で一服しながら「俺もこんな事をする立場になったんだなぁ……」ってしみじみ呟いてた。
薫る紫煙はまるでカメラのシャッターを切るように、その時の情景を切り取ってくれます。空へのぼる煙が記憶を脳に刻み付けてくれるのかもしれません。
あ、肝心なアンソロジーの内容ですけど、読みきり短編集でしかもテーマを絞ってるせいもあって、多少狙いすぎな内容もありましたけど、好きなものもいくつかありました。
一発勝負の短編なので、多分誰しも琴線に触れる作品に出会えるんじゃないでしょうか。
残響 情景とともに、、、ですね
このご時世にずいぶん挑戦的な、、、と思いましたが、
むしろこれ「純文学的」読み心地、、、
例えばアジカンの歌詞のような、そんな心持ちを与えるようなアンソロジーだったのかな、と
紫煙が人生を切り取っている以上、
すべてがきれいな思い出とはいかない……ちゅうのがわたしの場合ですが、
まるまるさんが抱いてきたシーンは、苦いながらも暖まる、きれいなものだったのですね
……あと何度、自分はそういうのを残せるだろう、と、ふとしんみりしました (2014/03/21 20:01:04)
Marumaru
コメントありがとうございます。
テーマを絞っていて、しかも一話あたりの頁数が少ないので
伝えたいシーンや心情が強調されていてメッセージ性が強いですね
面白いかどうかは別として(ここが純文学的かもしれません(笑))
喫煙の仕草自体が深呼吸みたいなものなので、動作や話題を一旦区切る
ようなそんなシーンが多いのかもしれません。 (2014/03/22 20:46:17)