Marumaru's TinyPlaza

(2020.04.02)(game)MUSICUS!

『MUSICUS!』


ゲームを通じて感じた事を上手く言葉に出来ないので、簡単に。一応、ネタバレ入りになるのかな?

このゲームを作ったOVERDRIVEってブランドは、音楽関係のタイトルを作っててたまに話題に上がる、ぐらいの認識だったんですが、数年前に新作かつ最終作を作るという事でクラウドファウンディング(以下、CF)をしているのがTwitterで話題になっていました。

で、体験版が公開されていたのでプレイしたんですが、その時点でかなりの衝撃を受けて、このゲームはただものじゃない!と思ってCFに申し込みました。そして、忘れた頃に返礼のゲームが届いたんですが、少し時間をあけてやっとこの度プレイする事が出来ました。

まず、一番に感じたのは、スタートからエンディングを迎えるまでの作中の時間経過が長い事。学生時代に音楽に傾倒して、バンドを始めて、そのまま音楽を生業にして、バンドのメンバーが変わったりしながら、時間が流れていき、人生が進んでいく中で、あれ?これどこで終わるんだ?って思いながらプレイしていました。

バンド始めて楽しくて女の事も仲良くなって終わり!じゃないんです。音楽をしながら暮らしていく中で、音楽の光の部分も闇の部分もどちらもしっかり描いていき、それでもなお辞められない音楽、そして創作の魅力(≒呪い)のようなものを描いてありました。

このゲーム、別に各ルートの終わりが今の部分じゃなくても良いのかもしれません(バッド除く)。音楽をしながら暮らしていく日々を切り取ったような物語だし、エンディングの後も当たり前のようにそのルートの生活が続いていく事は想像に難くないから。

そして、ルートによって主人公の人生が全く違ったものになるのも面白かった。音楽との出会いは一緒なのに、そこからの自分の選択で、その後の人生が全く違ったものになってしまうんですが、作中の経過時間が長い事と相まって、キャラクターの攻略というレベルではなくて、違う人生を何パターンか追体験させて貰った気分になりました。

次に感じたのは、「死」の描き方について。20年ほど前、Kanonが一世を風靡した頃、物語における死の扱いについても議論があったのを覚えています。曰く、死は物語のおけるジョーカーであって、誰しもが共感できる普遍的なものだからそれを使って泣かすのは反則だ、みたいな感じだったと思います。

このMUSICUS!でも人の死が出てきますが、泣かす為ではなくて、死は生きていれば必ず直面しないといけないもので、誰かの死があったとしてもその後の自分の人生は続いていく。生きていかなければならない。そして、普通に暮らして一定の年齢になれば、死は自分の遠くないところに存在するもの。そんな当たり前の事なんですが、ゲームの物語の中でそれが普通に出てきたのが印象的でした。

そして何より、音楽が良い。音楽に魅入られて音楽の呪いを受けながら生きているような人達を実感できるような素晴らしい音楽でした。これで音楽があまりよくなかったら物語の説得力が台無しになるところだったと思います。一番印象に残っているのは主人公たちのバンド「Dr.Flower」の初オリジナル曲である「はじまりのウタ」この歌の力は本当にすごかった。作中での扱いがそうであるように、聞いた瞬間に心を持って行かれました。

とりあえずぱっと言葉に出来るのはこの辺り。最後になりましたが、プレイして純粋にキャラクターとして気になっていた香坂めぐるのルートを最後にクリアして、個別ルートで掘り下げられた彼女を知って、余計に魅力を感じました。

とりあえず、そんな感じで。




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