Marumaru's TinyPlaza

(2013.02.17)『Don't say “lazy”』について

知り合いがギターを買ったらしく、最初に曲を練習するなら何をしたら良いかと言う話をしていたんですが、即答で『Don't say “lazy”』が良いと思う!と答えてしまいました。

けいおん!の第1期OPのあれです。

私自身、この曲をちゃんと弾けるかと言われると、ちゃんと弾けないので大きな事は言えないんですが、それを差し引いてもこの曲はギターの入門曲として本当によく出来ていると思うんですよ。ある程度ギターを練習してから楽譜を見ると改めて思いました。

その理由としては、

コードが全部パワーコード

ちゃんとしたコードを押さえなくても、指3本(2本)で弾けるパワーコードでギターパートが構成されていて、非常に覚えやすい。しかもシャープやフラットがほぼありません。

コード進行のパターンが少ない

これが個人的に一番大きい理由です。サビが

  • C-D-B-E-D C-D-E
  • C-D-B-E-D A-B-E

と言う構成なんですが、見てわかるように前半は一緒です。それに指の動き方もすごい自然。とりあえずサビになったら1小節に一度コードを鳴らしているだけでもそれらしく聞こえるんです。この「それらしく聞こえる」と言うのは練習する上ですごいモチベーションが上がります。

コード進行のパターンが少ない2

なんと、サビとBメロのコード進行が同じです。なので、サビの進行を覚えると自動的にBメロも弾けます。これで曲の半分近くが弾ける事になります。

コード進行のパターンが少ない3

更に、間奏とAメロで使われているコードがほぼEだけ。実際にはブラッシングをして音を鳴らす箇所、鳴らさない箇所を織り交ぜてリズムを作っているんですが、とりあえずはEコードを8ビートでジャカジャカやってるだけでそれらしく聞こえます。

これで、サビ(Bメロ)のコード進行を覚えて、それ以外はEを鳴らしていると、曲が9割方弾ける事になります。

例外は2番が終わってサビの繰り返しの前の間奏なんですが、ここもE-F-Dのコードの繰り返しです。本当は裏打ちを使いながら弾くとリズムが取りやすいんですが、とりあえずは全部ダウンストロークでも問題ないと思います。

Bメロのギターソロから見える優しさ

そしてこの曲の唯ギターパートのBメロギターソロ。長さ的にはBメロ全部がギターソロなんですが、他の曲のように早弾きでチャカチャカやるのではなく、一つ一つの音が2分音譜ぐらいあるので比較的余裕を持って次の音に移れます。2小節分だけ早弾きをしているところがあるんですが、そこだけは頑張って練習するしかないんですが。でも、16小節分あるBメロの中たった2小節分だけです。

だけど、そのギターソロが聞いていても弾いていても格好いいんです。ギターソロとしてすごく主張しているフレーズです。

キーボードのアクセント

直接ギターと関係ないんですが、この曲はキーボードがアクセントになっていて、キーボードのソロやフレーズがそこらかしこに入る事で曲を格好良いものにしているんです。つまり、ギターとしては入門曲ですが、キーボード的には割と難しいんです。大サビ前の間奏とか殆どキーボードソロパートと言っても差支えが無いぐらい。

アニメでは放課後ティータイムの楽曲は全てムギちゃんが作曲している事になっているので、ムギが結成間も無い放課後ティータイムの為に難しいところは全部自分が持つ形(ムギはキーボード担当)でみんなの為に曲を作ったと考えると胸が熱くなりますね。実際には『Don't say “lazy”』は作中で登場していないので、どの辺りの時期に作った曲なのかは分かりませんが。

上を目指せる曲

そんな訳で、この曲はある程度練習すれば、何となく「それらしく聞こえる」ようにはなるんです。ですが、そこから綺麗に聞こえるようにしようとすると、急に難しくなります。Aメロや間奏のEで構成されている部分をブラッシングで綺麗にミュートかけるようにするのは大変だし、大サビ前の裏打ちのリズムも最初は何じゃこりゃ!?って混乱します。

Bメロのギターソロも、本当はチョーキングで音を震えさせたり、スライドさせて音をずらした方が綺麗に聞こえます。とりあえず弾けるようになってからも色々と細かい部分で練習をさせてくれる曲です。ブラッシングやチョーキングってギターをする上で覚えておいて損はない技法でしょうし。

なんか偉そうに書いていますけど、私自身、Bメロのソロがまだちゃんと弾けないんですけどね……。


音楽の楽しさを感じてもらう曲

そして、この曲の本当のすごさは、技法的には比較的簡単なのに、単純にはなっていないところだと思うんです。簡単だけれど、弾いていて格好良い、楽しい。難しいだけがすごさじゃないんだ、という事を追求した曲のように思えて仕方ありません。

もっと言うと、けいおん!のアニメでギターに興味を持った人が、手始めに練習するにあたり、挫折せずに弾ける曲。作中の唯達のように「音楽って楽しい!」と感じられる曲として送り出されたのかもしれません。

けいおんシリーズはどれもOP曲がアップテンポですごく難しいんですが、EDは比較的簡単なんですよね。多分、OPは視聴者の中で既にギターを弾ける人が挑戦的な意味で弾いて欲しい曲。EDはけいおん!で音楽を始めた人の「好きな作品の曲を弾きたい!」と言う想いに応える曲なんだと思います。

参考までに、2013年2月17日現在で、ニコニコ動画を「ギター」+「演奏してみた」+「曲名」で検索してみるとこんな感じ。同じ曲でもスペースの違い等で複数タグが存在していたり、「演奏してみた」ではなく「弾いてみた」タグの人も居るので、あくまで参考程度に。

こうやって比べてみると『Don't say “lazy”』が圧倒的に多いんですよね。しかも「この曲でギターを始めました」って人が割と居るんです。改めて影響力の大きな曲なんだと思います。もちろん、曲自体の魅力も大きいとは思いますが。

こんなことを今更書いていますが、多分、数年前の段階で色んなところで書かれているだろう話題であることは想像に難くありません。だけど、改めて『Don't say “lazy”』の楽譜を眺めた時に、曲から伝わる作曲者の優しさを感じれたので書いてみました。

ギターを始めるなら最初は『Don't say “lazy”』が良いよっ!




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