Marumaru's TinyPlaza
(2022.01.17)(book)恋に至る病
『恋に至る病』/斜線堂有紀
「『ラスト4行のどんでん返し』みたいな帯に惹かれた」という書評を読んで気になって読んでみました。
確かに最後の4行の破壊力がすごかった。カタルシスがあるという訳じゃなくて、登場人物の在り方がラスト4行でがらっと変わる。自分の解釈を固めた上で他の人の感想を読んで、他の人の考えも見てみたい。そんな風に思いました。
この本に限らず、ラスト数行のどんでん返しでそれまでの価値観が瓦解したり反転したりする作品は好き。綺麗な伏線が貼られていれば猶更。
余談だけど、読み終えてから『恋に至る病』っていうタイトルは面白いなって思った。恋に落ちるのは洗脳であり信仰だと思っています。お互いの中に存在する確かなものをお互いが感じ取れているのなら、世界の全てはそれに付属するその他に過ぎない。
っていう考えを肯定してくれるセカイ系の中二病的な価値観に浸りながら読めました。ライトノベルってこういうので良いんだよ。
残響 タイトルは多分、哲学者キルケゴールの著書「死に至る病」から取っているのだと思います。
キルケゴールの言うところの「死に至る病」とは絶望のことで、絶望という「罪」は、神の前に自己を捨てることで許される……っていう内容なんです。
だから恋と信仰と世界と二人の「病」というのは、キルケゴール的有神論的実存主義哲学と重なるところがある……と知ったような口を叩きますが、実際小説を読んでいないのですから、当てずっぽうを失礼しました!(笑 (2022/01/17 21:27:39)
まるまる
こんばんは。
今年もよろしくお願いいたします。
この話なんですが、ラスト4行のどんでん返しが価値観の瓦解ではなく、ヒロインの人間性を示唆するものなんです。
テーマが所謂、セカイ系というレッテルを貼ると楽に言葉に出来るもので、感想サイト等を眺めていても感想の名を借りて自分の意見を好きに語るものが多かったんです。
が、あとがきを読むと、このヒロイン自身の人間性に関する伏線を作中に張り巡らせているので、全てのピースを組み合わせるとヒロインについての事を読み解ける、という事なんです。
もし、この作品を読まれることがありましたら、読了時に本文から読み解けるヒロイン像についての考えを教えて欲しいです。
私も読解力に自信がないので適当な考えを書いて言葉を濁してしまいましたが……一言で説明出来る事なのか、もっと深い何かがあるのか。
物語としてはさくっと読める本なので、もしお時間が取れるようならばお付き合い頂ければと思います。何というか、沈黙は金ですね。エヴァじゃないですが、語らないでおくことが最大公約数に対する正解のように感じた作品でした。各々の想像に任せるのが一番の魅力。
(2022/01/17 21:42:09)