Marumaru's TinyPlaza
(2024.02.01)(movie)機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
私、ガンダムSEEDはリアルタイムで見てたけど、SEED DESTINYは見てなかったんです。なのでこの映画も観に行くつもりはなかったんですが、なんかやたらと盛り上がっていて、皆「とりあえず早く観ろ!」みたいな感じだったので、あぁこれは前情報入れてない状態で観る事に価値がある作品なんだな、と思っていたところにSEEDとSEED DESTINYの30分ダイジェストが公式より公開されたので、これ幸いとダイジェスト動画でSEED DESTINYの概要を仕入れて劇場に行きました。
で、観た直後の感想なんですが。
えっ、ちょっと待って。なにこれ……最高(ただし胸ヤケしてる)。
チキンライスを食べに行ったら国旗が立ってるトルコライス山盛りが出てきた感じ。
SEEDに限らず、とにかく色んな要素をこれでもかとてんこ盛りに詰め込んでる。そしてそれが全部プラスに働いてる。わんぱく飯は脂肪と油を入れる程美味しくなる!理論を地で行ってる感じ。
「みんなこんなのが好きなんだよね!?」という制作陣の問いに、満面の笑みで「うん、こういうのが好きなんだ!!」と返せる。途中あまりにもやり過ぎなところがあって、そういう悪ノリも含めて笑いながら観られる感じ。
本当に不思議なんですが、この辺りの感覚が先日に観たゴジラ-1.0と全く逆なんです。少し言葉は悪いですが、ゴジラ-1.0は「オタクはこういうの与えとけば喜ぶんだろ」的な要素をオマージュ元を愛さずに売れる為に詰め込んだ感じ。
今回のSEED FREEDOMはSEEDを始めとして今までの色んな作品の影響を受けたと思う描写が数多くありましたが、そのどれもが原作に対する愛に溢れていて、俺はこういうの好きなんだよ!だからみんなも観てよ!!っていう感じ。
なんだろうなぁ。愛があるかどうかもそうなんですが、ゴジラ-1.0は「こういうのを入れたよ、だから喜んでね」って1から10まで説明してる感じ。SEED FREEDOMは「分かるやつだけ喜んでよ」って違いもあるのかも。
とにかく、やりたい事全部を全力全開でやって駆け抜けて終わった映画でした。
私の拙い言葉をどれだけ尽くしたところで魅力は伝えきれないので、興味ある人は一刻でも早く観て欲しいです。
※ここからネタバレ
初見の感想を箇条書き。多分後で追記する。
- 本当に色んなアニメの要素を好意的に取り入れているから、アニメをちょっとでも観てる人なら、それぞれの人がそれぞれの得意分野の知識で色々と語れる作品だと思った。
- SEEDってこんなにメカバトル格好良かったっけ!?マクロスでも見てるのかと思った。
- EDがSee-Sawで泣いた。
- 田村ゆかりさんの演技がいい味出してた。
- 三石さん、完全にシンエヴァのノリで艦長やってて活き活きしてた。
- シンゴジラと言うかエヴァと言うか、シーンの場所や名称を画面下部に小さく書く手法って流行ってるのかな。色んな名前がどれも中二……と言うかドイツ語や神話から取ってて大歓喜。
- アグネスがファウンデーションに寝返るシーン、逆シャアのクェスを思い出した。
- バルカンが活躍したりズゴックが活躍したり、新兵器がてんこ盛りだったり、ほんとサービスシーン多い。
- あれか、ガンダム劇場版の敵はとにかく大量殺戮兵器やコロニーとかで一般人に甚大な被害を与えないといけないのか。
- ストーリーの大枠が本当にガンダムって感じだった。
- ラクスがブースターユニット?に搭乗するシーン、楽園追放を思い出した。なんであの姿勢で乗るのよ(笑)
- ラクスの中二病ヘルメットと言い、(つい先日も旅行会社で炎上してたけど)最近のコンプラガン無視のおっぱいプルンプルンスーツと言い、突き抜けてて最高だった。
- 愛する男女がガンダムと翼のブースターユニットで合体してラブラブ天驚拳とか誰が嫌いなんだよ、みんな好きに決まってるじゃない!私も大好き。
- マルチロックかっこいい。
- 愛の物語だったよね。これだけ真っ直ぐに愛を叫んでくれると清々しい。
- カガリ関係がかなりギャグ寄りだった。怨霊の件と言い、妄想と言い。照れてるカガリ可愛い。
- 質量を持った残像…うんぬんかんぬんと各所で言われてるんだろうなぁ。主にオッサンが。
- バルトフェルドさん!!
とにかく最高だった。また観に行きたい。
※ここから追記。
- EDのスタッフロールに麻宮騎亜さんの名前があってサイレントメビウス世代としては感涙。
- そう言えば、DESTINYってラクスのそっくりさん居なかったっけ?ダイジェストでも完全に居ないものになってたけど。
- 女性キャラの唇が厚いって意見を結構見たんだけど、全体的に顔をちょっと濃いめに描いてるからあれくらいで丁度良かった。艶っぽくなってるし。どっちかと言うと正面からの顔にちょっと違和感を覚えた部分があったかも。
- SAOの劇場版でSAOの記憶を失ったアスナがALOで出会ったユウキから引き継いだマザーズロザリオを放つ時、一瞬だけユウキが出てくるシーンが狂おしく好きなんだけど、DESTINY見てた人からしたらシンのバックに一瞬出たステラのシーンってそんな感じで感慨深いんだろうって思った。それはDESTINYを追いかけていた人の特権。
- ルナマリアの唐突なシャワーシーン、2回目観てもやっぱり唐突だった。本当にただのサービスシーンなの?
- 2回目レクイエムまでの発射猶予が10分って10時間の間違いだよね……。最初外が暗いように見えた執務室?カガリが居た部屋だけど、ルージュが出る時には朝日が差し込んでたし。10分で何が出来るのかと。勢いでごまかしてるけど。
- キラとツーリングに行った時の3段重のお弁当、前日の残りなのか作り直したのか。
- EDのラクスのモノローグ、物語を象徴する本当に良い事を言ってるんだけど、バックでパイロットスーツを脱ぎ捨てた二人が裸で抱き合ってるせいで言葉が何も入ってこないよね。2回目も入ってこなかった。(2人の)去り際にそんなロマンティクスを告白されても……。
- なんだかんだで主要キャラの恋愛面が補完されたと言うか、みんな良い感じのカップルになってるなーと思ったんだけど、生き残ったアグネスってどうなるんだろ?
- ラクスが差し入れようとした夜食、おにぎりとサラダなのに何故カトラリーがナプキンに包まれたスプーンなんだろ。箸かせめてフォークで。
- もやいを解け!って言い方いいよね。
- キラとラクスのツーリングシーン、ラクスがバイクの後ろに普通に座ってるのが観ていてすごく怖かった。ドライバーに寄り掛かるようにするか、重心を前にかけてバーを持ってないと振り落とされそうになるんだよね。
- 結局ファウンデーションのベタベタな少女漫画的なキャラ・演出と使い古された王道の恋愛展開、それにお祭り感満載の戦闘シーンっていう割と王道な映画だったんだと思う。だから安心して観られる。
(2024.02.17)(book)アリアドネの声
『アリアドネの声』/井上真偽
はい。図書館で眺めていた時に世界樹の迷宮が浮かんで借りました。アリアドネがギリシャ神話由来と言うのを今更知り、エピソードを読んでいてなるほど、と。
舞台は建設されたばかりの地下都市。地震が発生して都市が崩壊する中、地下に要救助者が取り残されている。その人物は目が視えず、耳が聞こえず、声が発せられない「三重障害」の女性。取り残された彼女を救出する為、ドローンを向かわせ彼女を途中にあるシェルターまで誘導する事になったのだった。というあらすじ。タイトルがまさに内容を表している作品です。
本編とは関係ないんですが、つい1年ほど前にドローンの簡単な講座みたいなものを体験していたおかげで、ドローンの操縦についての描写やドローン関係の専門用語について、少しですが実感を伴って読む事が出来ました。どんな事でも実際に体験すると色んなところで理解が深まります。何がどう繋がるか分からないものです。
冒頭に地下都市の断面図やフロアマップ等が描かれていたので、館モノのミステリよろしくかなりがっつりとトリックのようなものがあるのかと身構えて読みましたが、驚くほどさくっと読めました。だからと言って内容が薄い訳ではなく、一本筋が通った作品で無駄にダレる事もなく面白かったです。しいて言えばYoutuberの件がちょっと微妙だったかも。
そして、最後のオチがとても良かった。読んでいて全く気付かなかったから悔しい。と言うか、伏線を考えるまもなく読み終わるぐらい夢中で読んでいたとも言えるんですが。
何にせよ、スッキリとした読後感を味わえる終わりでした。そして表紙のイラストがとても好き。