Marumaru's TinyPlaza
(2024.04.13)(book)有罪、とAIは告げた
『有罪、とAIは告げた』/中山 七里
好きな作家さんの新作で、興味があるテーマだったので。
タイトルから想像出来る通りのあらすじ。だけど、そのテーマを魅力的な登場人物とオチを付けた展開でミステリに仕立てているのは流石の中山七里。
私達は小説を通じて様々な事を追体験出来るけれど、その物語を書く為に常に知識をインプットし続けている作者は本当にすごいものだと今更ながら。法廷と言う作者が得意なジャンルであるとは言え、AIと言う目新しい内容を扱っていて、作中ではAIの専門家が振る舞っている。その内容がこのジャンルに比較的興味があってアンテナを張っている自分にとってとても興味深いものだったので、アウトプットをする為にどれだけのインプットをしたのだろう、と。
AI、殊更生成AIにおいては、餌として食わせたビックデータをもとに出力する訳だけど、出力された成果物をどこまでを作業の手助けとして使うべきなのかと言うのは本当に現在多くの分野が直面している問題。
上手に使えばアイディア出しの一助になるだろうけど、その精度が高ければ高い程にその成果物に頼ってしまうのは仕方のない事だし、作業に忙殺されているような状況下に置かれているのなら、AI成果物をアシスタント代わりに使うのは自然の流れだと思う。
しかしながら、過去のデータを組み合わせて何かを作る事は出来ても、過去の知識を知恵に昇華させ、そこに新たな発想、アイディアを組み込んで新しいものを創るという事はまだまだ人間にしか出来ない分野だと思う。なぜならば、既存の膨大な知恵の荒野に垂らされる新しい一滴と言うのは、特定分野のビックデータだけではとても賄いきれない、その人が積み上げた今までの人生そのものだと思うから。
と、現在では確信をもって言えるんですが、ビックデータの集積量と分野が指数関数的に増え続け、体系的にアーカイブされ、分野を超えた情報のやりとりが出来るようになったとすると、AIを超える新しい創造を出来る人は、もしかしたらほんの一握りになってしまうのかもしれない。
そして、その日はそんなに遠い未来じゃないのかもしれない。多分それがシンギュラリティなんでしょうね。
読み終わった後にそんな事を考えていました。
(2024.04.17)(movie)名探偵コナン 100万ドルの五稜星
『劇場版 名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』
コナンの映画、2個に1個ぐらいは見てる気がする。今回のは記録的な作品になるみたいな評判がSNSで流れてきて、一部界隈が非常に色めき立った感想を書いていたので、それならばネタバレ食らう前に観とくかー、と。
余談ですが、サービスデー(1,300円)で映画を観だすともう正規料金(2,000円)では観られなくなってしまう……。サービスデーだとポップコーンセット入れて正規料金と一緒ぐらいだもんね。
それはさておき、コナンの映画って毎回劇場版ならではの気合の入ったアクションシーンが見どころの一つだと思っているんですが、今回はいつもに輪をかけて凄かった。こんなのアリなんだ、と。とりあえずアクションシーンがほぼ良い意味で印象に残りました。
今回、函館が舞台の宝探しってことで、ゴールデンカムイを彷彿とさせる感じでした。コナンかゴールデンカムイかどちらかが好きだと楽しめて、両方好きだとエッセンスだけで楽しめる感じ。函館の街の魅力を沢山描いているので函館の街のプロモーションに大いに役立っているのでは。
函館、まだ行った事ないから一度行ってみたいんですよね。五稜郭行ってみたい。岡山からだと札幌(新千歳)は直行便があって行きやすいんですが、函館はちょっとねぇ……。でも、函館に行ってみたい。
今回、まじっく快斗や服部関係ががっつり登場するので、その辺りを含めて履修している人にはたまらない内容なんじゃないでしょうか。実際、観客もぱっと見た目20代~30代ぐらいの女性が多かった印象。コナンはほぼ映画でしか知らないので、細かい部分の意味を完全には理解出来ていないと思いますが、色々とファンサービス的な内容が多かったのは分かりました。
全体として、やりすぎなアクションシーンと、整合性を取るべく頑張って練られたであろうシナリオに頑張ってるなーと感じた映画でした。
夜なのに「セスナが墜落したぞ」と一瞬で判別して非難を促せる一般人に一番感動してしまいました。
本人も言ってましたが、全体的に落ちてキャッチされるシーンの多い映画でした。服部においては、セスナから落ちたのにまた飛行機上に戻すんかい!!と。
そして、ケーブルカーのケーブルを伝って函館山に登っていくコナン君を見た時には変な笑いが。
この映画、2時間以内の作品なのにシナリオとか結構頑張って詰め込んでたから、割と急な場面転換多かったけど、地上波で放送された時はがっつりカットが入るだろうから、どんな感じになるんだろう、と怖いもの見たさを感じました。
残響 AIの発展ですが、「人間の器」が試されているのかもしれないですね。
「AIの成果物に頼る」ような易きに流れるのか。それともAIを「良き友」と出来るのか。
あるいは「AIの成果物に頼る」あまりに、自分の手で思考&創作をすることを忘れてしまうのか。
なんだか「つまらない人間はもっとつまらなくなっちゃう」式の考えがよぎりますが…ちょっと怖くなってきましたね。
それでもやっぱり、「良き友」を得られるのは、その人の人間的な器にかかっていると思います。
現代技術に興味があってSFを最近読んでいる私としては、興味深いテーマでした。更新お疲れ様です。 (2024/04/15 21:10:11)
まるまる
残響さん。
コメントありがとうございました。
まさに現在を書いている小説だったので、この時期に読むことに価値があると思った作品でした。テーマに絞った話でさくっと読めるので、興味があれば是非読んでみてください。多分図書館に入ってると思います(笑
インプットした情報を体系的に整理して知識とし、それを適切にアウトプット出来る能力と言うのは、割と高度なものであり、その作業に置いてはインプット情報の多さはそのまま強さになります。
ただ、その段階まではビックデータを使ったAIが似たような事を、人間よりも遥か多いインプットと処理速度で行ってしまうんですよね。
なので、人間に求められるのは、地平線を軽々と飛び越えた先にある創造なのかもしれません。何に影響を受けているかはお察しのコメントですが!
(2024/04/15 21:18:53)