Marumaru's TinyPlaza
(2022.11.04)(movie)映画 ゆるキャン△
ゆるキャン△の劇場版がPrimeVideoで配信されたので早速見ました。と言うか、これって夏ぐらいの映画でしょ!?配信早い。こちらとしては嬉しい限りですが。
ゆるキャン△って、ファンタジーなんですよね。女子高生がこんな高い装備持ってる訳ないとか、こんな装備で泊まれないとか。だけど、そのファンタジーはキャンプを好きな人がキャンプの楽しい部分のエッセンスだけを抽出して登場人物たちに演じさせている、とても優しいファンタジー。
そして、そんな優しい物語は、とても心を癒してくれる。
劇場版でもその良さは引き継がれていました。深夜にタクシーで高速使って駆けつけるって良いよねぇ。憧れる。やろうと思えば出来るけど、実際にはなかなか難しいことをやってくれる。
そして、「キャンプ場をつくる」って予告を劇場で見た時には驚いたものですが、大人になって世間のルールの中で仕事としてやってるのがとても刺さりました。大人になって出来る事は増えたけど、同時に出来ない事も分かってきて、でもだからこそ、やりたい夢を現実的に実行できる「落としどころ」という道が見えてくる。SHIROBAKOもそうでしたけど、可愛いキャラクターで仕事を絡めて頑張る姿を描いて、苦労もするけれどその結果として十二分な成功を収める大団円。ゆるキャン△のメイン層の心を揺さぶってくれそう。
色んなものが増えて、色んなしがらみが出来て、年を重ねるごとに失っていくものも多くて、でも年を重ねたからこそ得たものもあって。今やりたい事があるのなら、今の手札の中で出来るようにやるしかない。でも、一番大切なのは今「やりたい」と思える事がある事。そして、それを一緒に頑張れる仲間が居る事。
この映画って内容はゆるキャン△だけど、見た人の内面に寄り添う内容だから、見た人の経験から発生する想いがそのまま感想になるような映画だと思う。
色んな事を考えながら見て、青春って眩しいなって思いました。
(2022.11.11)(movie)すずめの戸締まり
『すずめの戸締まり』
※ネタバレしてます。
封切り日に観てきた。
まず最初に、大好きな新海誠監督の映画を前情報や他の感想を観る前の状態で観られて本当に良かった。好きな監督の、綺麗な映像の、完全オリジナル新作のまだ知らない物語を純粋に楽しめて良かった。
観終わった後の素直な感想は、「星を追う子ども」で上映して、一度興行収入的に微妙だったファンタジーを、今の知名度、現実世界、そして3.11からの復興というテーマを絡めてもう一度挑戦されたんだな、と。
と言うか、ポニョですらTV放送がされなくて、やったら一部の層から絶対に叩かれるであろう、クリエーターからしたらある種の禁忌に近いような3.11をよくやったなぁ、と。12年ってキーワードが何度か出てて気になってはいたんだけど、もうそんなに経つんだよね。
何と言うか、新海監督らしさは薄まっているけど、分かりやすいお話で面白かった。早い段階で草太=要石って事は分かるので、草太が要石として人身御供するのをすずめが助けるって筋書きは見えるけど、思っていた以上にワクワクして、特に後半は本当に見入ってた。そして何とも分かりやすいハッピーエンド。
以下、感じた事を箇条書き。多分、誤字あるけど勢いで書いてるのでご了承を。
- ルージュの伝言がかかるシーンで、旅立ちはこれだよねー、猫もいるし。ってセリフって思わず大笑い、攻めてるなぁ。
- 現実世界を現実以上に描いているからこそ、東京の地下の扉の場所も、あんな場所があるのかも?と思わせてくれる説得力。何か元ネタはありそうだけど。
- このご時世に割とガッツリ喫煙シーン入れてるよね。新海作品って喫煙シーンに拘りがあるよね。吸い方が「星を追う子ども」を思い出した。
- 愛媛の旅館って実際にあるんだろうか。あったら行ってみたい。
- 愛媛で拾ってくれた女性、社内の会話でスナックのママかと思ったらビンゴだった。新海監督、スナック(で働く女性)好きだよね(笑
- スナックのシーン、デュエットしてた男性客が歌詞の内容を替え歌してママにアピールしようとして、途中で怖気づいたシーンがすごく雰囲気出てた。
- すずめが草太のおじいさんに会ってから地元に帰るのを決意する時に、草太の部屋に寄って身支度をするシーン好きだ。最終決戦前の準備シーンって良いよね。
- そのシーンで、すずめの制服がプリーツスカートってのを忘れてて、最初、草太の袴を借りて着用しようとしているのかと思って、制服の上着に袴って新鮮だーとか思ってた。
- 閉じ師の書物、スタッフが2名付いているのに、なんか安っぽい感じだった。「要石」とか思いっきり書いてるし。
- それに、黒塗りになってる書物って、閉じ師の仕事やってるなら真っ先に調べとかないといけないヤツなのでは……。すぐ手の届くところにあるんだし。今更になって、「大事なところが黒く塗りつぶされている」とか「今の要石は東京に」とか言い出して、えぇ……って。そもそも、現在の東要石の場所なんて閉じ師やってるなら一番大切な情報だと思うんだけれども。
- 常世で昔の自分と会うシーン、やっぱり「ほしのこえ」のミカコが浮かんでしまう。と言うか、衣装とかも含めてあのシーンを意識してるよね。
- 時間が重なる場所、と言う前提があるにしても、過去の自分にあるネタがあると、(キャラクターの)意識の所在がごっちゃになって考えがループしてしまう。
- 芹澤と環さんの関係が新海監督の性癖が一番出てるよね。やっぱり年上女性に惹かれるシーンが無いと。
- と言うか、大学生とコブツキ40才未婚女性ってなかなか尖ってる。しかも、仮にくっついたとしても連れ子は環さんの姪だから血の繋がりは無いっていう。なかなかの闇の深さ。
- 芹澤にしても、ぱっと見チャラいけど実は良いヤツってのが、うん、大好き。しかし環さんとくっついたとしても、連れ子が(初対面)電波な事言ってる子だったとしたら、それも闇が深い。でも、芹澤ならそこを含めて受け止めてくれそう。
- と言うか、エンディングで芹澤と環さんがくっつくシーンが示唆も含めて無かったのが意外。草太さんとすずめはあんなに分かりやすい(とってつけたような)ハッピーエンドだったのに。同人で補完しろって事なのかー。
- しかし、左大臣登場の辺りの環さんが闇墜ちするシーン、物語のトーンが変わり過ぎてこれからどうなっちゃうんだろうと本気で心配してしまった。でも、すぐに戻って安心したけど。この辺り、新海監督の性癖だと思う。
- 草太のおじいさんと会話するシーン、おじいさんがこと切れて心電図がピーと水平線を描くんじゃないかとドキドキしながら見てた。
- 環さんが実家に近づくにつれて吹っ切れて旅を楽しんでるシーン大好き。
- 47都道府県の会社が協賛ってのだけは知ってたんだけど、全然分からなかった。と言うか、岡山の廣榮堂って何処に出てたの?これは答え合わせがすぐに出るだろうから後で確認してみる。
- とりあえず旅がしたくなる映画。
- 方言の女の子って可愛いよね。
とりあえず、ぱっと浮かぶのはこれくらい。さて、他の人の感想を読もう。
-
20221112追記
- 自分の持論として新海作品のテーマは、「時間や距離など様々なものを超えて届く想い」だと思っているんだけど、そう考えると今回の話は、すずめが過去のすずめに想いを伝える話なのかもしれない。あのシーン、何度も出てきてるしね。
- しかし、最近の新海作品って一目惚れが多いよね。
(2022.11.23)(book)此の世の果ての殺人
『此の世の果ての殺人』/荒木あかね
第68回江戸川乱歩賞受賞作。
彗星の衝突によって半年後に消滅する現代の話。終わる世界の中で、自動車学校の先生や途中で知り合った人達と一緒に殺人事件の真相を追っていきます。2022年年末の話なので、読んでいるうちに今のこの世界はあと少しで終わってしまうんじゃないかという感覚に陥りました。それぐらい没入感がすごかった。
所謂セカイ系、終末系と言われる世界観でしょうか。割と馴染みのある世界ですが、その中で目まぐるしく移り変わる展開が読んでいてとてもワクワクしました。一緒に旅をするイサガワさんのキャラクターがとても立ってました。少し万能キャラな気もするけど、少女が年上の男性と終わる世界を旅するっていう定番をこんな風に描く事も出来るんだ、と。
ミステリ的な要素や伏線もあって、本当にこれがデビュー作!?と思いながらも、端々に表れる瑞々しい感性に可能性の萌芽を感じました。何より、本が大好きな人と言うのがすごく伝わってくる。
粗削りなところもありますが、それ以上に勢いと魅力のある作品です。終わり方も綺麗。