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(2021.11.21)(book)僕がきみと出会って恋をする確率

『僕がきみと出会って恋をする確率 』/吉月生


ネットの広告で見かけて読んでみました。

とても綺麗なお話と構成でした。

両親を亡くして一人暮らし、量子力学、シュレディンガーの猫、天体観測。唐突なボーイミーツガール、強引なヒロインに引っ張られる主人公。そんなフックの効いた設定から織り成される物語は、本当に青春に溢れた眩しいものでした。

出てくる登場自分物が全て物語に関わっていて、シュレディンガーの猫等の事象もちゃんと物語に織り込まれている綺麗な構成。ただ、シュレディンガーの猫で引っ張り過ぎたのと、最後の後出し設定の連発をどんでん返しと取れるかどうかは好みが分かれるところかも。

ただ、これは自分が若い時にこういう作品に数多く触れたから言える事であって、若い時に触れていたら心の琴線をかき鳴らされていたであろう事は想像に難くありません。

今でも、美麗なアニメーションと切ないBGMをセットで摂したら泣いてしまうだろうってぐらいには好きなエッセンスに溢れています。

色んな事に関して、「我思う、故に我あり」的に語っているのは、自分の考えと近いところがあり非常に共感しました。神の存在、遠距離恋愛に関する恋人の考え方等。そして、そこから一歩進めた考えを理屈の裏付けを添えて説明しているのは興味深かったです。

が、四十を超えれば、その理屈について屁理屈だと思ってしまうつまらない大人になってしまうんです。そして、フィクションの中においても、非現実な唐突な出来事について、ワクワクより先に冷めた目で構成の出来を考えてしまうんです。だから、そんな時点で私にはこの小説を真っ当に楽しむ資格はないのかもしれません。

だからこそ、王道、定番と言われる作品達にこれから触れていくであろう若い人。特に、行間を楽しむのじゃなくて、書いてある文章の内容そのままに本の世界に没頭出来る感性と想像力がある中高生ぐらい人に是非とも読んで欲しいと思った一冊です。

王道の手法は効果的だから王道足り得るのです。




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