Marumaru's TinyPlaza
(2024.06.10)(movie)Fall
『Fall』
劇場予告をみて気になっていた映画。PrimeVideoに入ったので観ました。
ロッククライマーのヒロインが、クライミング中に滑落死した恋人の悲しみを乗り越える為にクライミング仲間の友人と一緒に地上600Mのテレビ塔に登ろうとするが……と言う映画。
所謂、極限脱出ものになるのかな?非現実的な状況の中でギリギリ現実的と思える落としどころと言える展開、そして一発ネタの話なのにストーリーを綺麗にまとめていたのが良かった。
こういう系の映画によくある理不尽な終わり方や投げっぱなしの終わり方で無かったので、視聴後の感覚が非常に良かったです。
ただ、怖い。地上600Mで展開される話なので、観ていてヒュンとなる怖さや、思わず「怖い怖い!」と口走ってしまうようなシーンが続きました。内容的にそれが一番の魅力なのだと思います。ですので、高いところが苦手な方は観ない方がいいかも。
吹替で観たのですが、友人であるハンターを演じる人が上手いなと思っていたら、推しの子の有馬かな役の潘めぐみさんでした。(ララァ役の潘恵子さんの娘と言った方が通りがいいかも)
とりあえず、メインとなるテレビ塔に「無断で」登る理由が、死んだ恋人の悲しみを乗り越える為。そして配信がバズる為、っていう理由にツッコミを入れざるを得ませんでした。おいおい!と思いながら見ていましたが、全体からすれば塔を登る動機は些末な事だと気づきます。
ハンターがリュックを取りに行った時に実は死んでいて、ベッキーはハンターの幻覚を見ていたという展開は衝撃的でしたが、途中様々な伏線が張られていて、それが違和感として頭に残っていたので見せ方が上手いと思いました。そもそもベッキーは恋人との死別によって情緒不安定という前提もありましたし。
問題のリュックを取りに行くシーンは手に汗握る印象的なシーンですが、ロープに下げたリュックに飛び移ったり、それを持ち上げたりしている部分は、「流石にやりすぎやろー」みたいに少し引いて眺めていたのですが、その違和感が逆に妄想故のものだと知った時は気持ち良い驚きでした。
更に、ベッキーが電球のソケットで充電をするシーン、アンテナに登るベッキーを励ます為にハンターが足場の上で踊りますが、そのシーンも狭い足場の上であんな踊りをするのは流石に無いわーと思っていたのが、ベッキーの妄想だとしたら納得。
2回目の夜、ハンターがハゲワシに食べられている悪夢で目が覚めて、周りを見回すがハンターは見当たらない。その辺りで得も言われぬ違和感が頭をよぎりますが、そこからの怒涛の展開は見事。よくよく考えれば、ハゲワシが塔の近くを旋回していたという事は、既にハンターは死んでいるという事を示唆していたのでしょうね。
それと、リュックを引き上げて水を飲むベッキー、その後でハンターに水を渡そうとするもハンターは断わります。その場に居ない妄想なのだから。
この辺りの極限状態のベッキーが死んでしまったハンターの幻想を見ている表現がとても上手いと思ったので、後でこの辺りを意識しながら少し見てみようと思います。多分、分かった上で見直すと表現の妙に唸れるはず。
ラストに向けての展開ですが、観ている時は彼女らは最終的に救出を待つことを諦めて自力で塔を降りると思ったんです。塔にしがみついてずり落ちる感じで。梯子がある部分まで降りれれば良い訳ですし。もしかしたら降りる過程で大怪我をするか、最悪死んでしまう。そんな終わり方かと思っていました。
ですが、安易に降りるという展開にせずに最後まで救助を呼ぶための努力をする。そして最後に父親を通じて命の大切さを知る、というまとめ方は本当に綺麗。
あと、ハンターとダンが実は恋仲だったというのは……うん、よくある展開ですがアクセントとしては良かったと思います。その設定があるからこその、塔のてっぺんで遺灰を撒くシーンとハンターが泣く事の意味が際立ちますものね。
うん、面白い映画でした。
余談ですが、ヒロイン二人が胸大きくて良かったです(小学生並みの感想)。