Marumaru's TinyPlaza

(2023.02.12)(book)二歩前を歩く

『二歩前を歩く』/石持 浅海


例によって石持浅海さんの安楽椅子探偵もの短編集。飄々とした探偵役が飲み屋の会話がきっかけで色んな事件を解決していきます。

この短編集はテーマがオカルト、超常現象みたいなものでまとまっているようでした。会話によって理論を積み重ねて真実を暴くのが目的であるならば、トリック(?)自体は超常現象でも構わない。描きたいのは安楽椅子探偵による会話劇だ、というある種のセカイ系のような思い切りの良さを感じました。

確かに、こういうミステリでは当たり前のように扱われている殺人事件自体が一般の感覚からすればフィクションなので、だとしたらトリック自体は超常現象だったとしても、どうしてそうなったか、それは何を示しているのか、を会話によって明らかにする方が大切ですものね。

ただ、短編ならではの唐突な展開に加えて、トリックが超常現象だったりするので、その辺りを割り切って会話を楽しめるならお勧め。一編が短いのでさくっと読めます。

個人的に最後の書下ろし短編が大好き。石持さん、こんな話も書くんだ、と。




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