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(2022.01.21)(book)黒牢城

『黒牢城』/米澤穂信


この本、年明けにネットで面白いって話題になっていたので、「氷菓」の作者が執筆されている事もあって図書館で借りてはきたものの、読まないままに返却期限になろうとしていました。

が、そんな折に直木賞受賞の報が飛び込んできました。これは、今返してしまうと次に借りれるのはいつになるか分からない。と、休みに慌てて読み始めたんですが……。

いやー、面白い。それなりにボリュームのある作品だったんですが、読み始めたら一日で一気に読んでしまいました。

戦国時代を舞台にした話なんですが、私が戦国時代にとんと疎く、その辺りはよく分からないんですが、戦国時代好きな人だとその辺りの含めて楽しめそう。戦国武将を独自の解釈と視点で描いてるみたいです。なんでも、最近は戦国時代の新しい資料が次々見つかって、今まで定説とされていた事が覆されてるみたいですね。

それはさておき、内容は完全にミステリです。戦国ミステリとでも言うようなジャンル。もう、米澤穂信さんの魅力がここぞとばかりに発揮されています。複数章に分かれながら内容的には繋がっている話なんですが、どんでん返しが気持ちいい。

そして、それに至る伏線がそれまでに綺麗に張り巡らされていて、キーになる部分は確かに読んでいた時に少し違和感を覚えた部分ではあるんです。それが思いもよらぬ形で最後に登場して物語がひっくり返る快感。章ごとに、そして物語を通じて、と何度もカタルシスを味わえました。

最初は黒田官兵衛の一風変わった安楽椅子探偵モノ?とか思っていたんですが、そうじゃなかったのだなぁ、と。

戦国時代が舞台なので普通に斬った斬られたはありますが、籠城中の城という外界から隔離された舞台で繰り広げられる会話劇はまさに米澤作品でした。こう、結果だけ見ると表面上はあまり変わりがないような世界の、舞台下で繰り広げられている奸計と張り巡らされた策略を会話で解き明かしていく展開、大好きです。




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