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(2026.02.12)(movie)閃光のハサウェイ キルケーの魔女(2回目)

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』(2回目)


※ネタバレありです

























キルケーの魔女、2回目を観てきました。2週目特典のデザインブックがどうしても欲しかったのと、純粋にもう一度ゆっくり観たかったから。

初回は内容や演出を理解しようと必死でしたが、一度観てから各種解説動画を見て理解を深めて再度観るとよりクリアな解像度で観られました。何より堪能することに集中出来て時間があっという間でした。初回は色々気になったり、ともすれば違和感を覚えた様々な演出も、知ってから観れば全体がすごく調和してると感じました。

なんですが、全体が違和感なく、格好よく爽やかに感じられたものだから、その裏に、その後に、確実に待ち受けるであろう地獄の存在が薄まって感じられたのはエグいよなぁ、と。


ここからは考察ではなく、ただの個人の感想、空想です。Twitterだとネタバレになるから書けなかった事を簡単に。こういう時にBlogを作っておいて良かったと私に実感なんだ(クェス調)。


ギギが鳥籠から飛び立つことを決めた時、依り代としてネグリジェを残していくところが本当にエモい。ギギ自体がハサウェイに関係する時計をずっと持ち歩いているからこそ、自分が立ち去る時にネグリジェという残り香を置いて行く行動がエモいと言うか夢見る少女的な行動に感じてしまいます。自分が着ていたネグリジェというのが愛人としての矜持を感じる。

回想シーンでバウンデンウッデン伯爵はネグリジェ姿のギギに後ろから手を這わせ、それに対してギギが嬌声をあげるシーンもありましたから、二人にとって何か特別な意味があるものなのかもしれません。

しかし、バウンデンウッデン伯爵はこれからこのギギが居ない別荘へと訪れ、ギギが自分の為に選んだ家具調度に囲まれ、ギギの残り香がついたネグリジェが残されたベッドで一人、過ごすと考えると少し寂しさがこみ上げます。だけど、他の面倒な親族が居ない、ギギの思い出がけが残る終の宿で、飛び立った青い鳥の事を考えながら余生を過ごすのも、それはそれで幸せなのかもしれない。


ギギがメイスに対して放った早口。その意味について色々と物議を醸しているけれど、何と言うか、おっさんが書いた女性同士のキャットファイトにおっさん達が狂喜乱舞という地獄が……。

それにしても、原作小説が書かれた年代を考えても、この時の富野御大はクリエーターとして脂がのりにのっているなぁ、と。この複雑な心情を一言の台詞とその前後の描写で描き切ってしまうんだから。そして、御大の女性観が歪みまくっていて創作者として最高だと心から思った。

このシーン、メイスも足を組んでCAとしてではなく、一人の女としてギギに戦う姿勢を見せたところでのカウンターを喰らってるっていう構図が面白いよね。ギギが敢えて差し出した頬に放ったビンタはギギだけではなくケネスへも向けられていて、2人への決別になっているのが表現の妙。そして全てを分かった上で面倒事に巻き込まれている事務員さんが本当に不憫で。


ギギがΞガンダムに乗り移る前に言った「私はバウンデンウッデン伯爵縁(ゆかり)の者、よき人質となりましょう」というセリフが好き過ぎる。縁の者という、嘘ではない全方位に気を使った誰も傷つけない、だけど気高い物言い。ギギの魅力が詰まってるなぁ、と。

その後の、『よき人質』という言い回しも頭の中で勝手に『佳き人質』と変換されて、これ完全にギギからハサウェイへのプロポーズじゃん、と思ってしまったり。この後の、「貴方が神になればいい」は1部から引っ張っているテーマの一つですよね。

なんか、ハサウェイは逆シャアでのトラウマで凹んでいる時に知り合った女の子について行ったら、それがカルト教団テロリストのセミナーだったり、ギギはギギで少し夢見がちなところがあって、そんなフワフワしてる危なかしいハサウェイに惚れて全てを投げ出してついて行くわで、ガンダムなんだけどすごく青春小説のような雰囲気を感じます。


この2部の話って、ハサウェイ視点だと以前に出会ったクェスを彷彿とさせる女が忘れられず、こんなんじゃダメだと世俗も肉欲も断ち切ろうとしていたところに、偶然ギギに再会してしまい本能の赴くままに肉欲を開放してしまう訳ですが。

これ、ギギ視点だと伯爵の愛人として暮らしていたところに、ハサウェイという危なかしくも魅力的な男性を知って、全てを投げ出して、全てを使って会いに行く話なんですよね。選択肢を持った状態で自分で考えた結果、やっぱりハサウェイだと選んで、若さに支えられたパッションを使ってキャットファイトに勝って勝利したコネを使って。

ケネスは大佐の地位を自分の努力で手に入れた男、しっかりしていて有能で運も持っている。それでも、逡巡と熟慮の末にフワフワして危ういハサウェイを選んで、大佐の前ではパンツルックだった女の子が、露出の多い丈の短いワンピースを纏って、帽子と日傘と手袋でUV対策ばっちりで男の子のもとに会いに行く。

日の出前に出発した旅は、日の出の後に目当ての人との邂逅を果たし、せっかく用意した当座の生活資金も何もかも捨てて飛び込んでいく。二人は積極的なキスをして日の昇りきった空の下をΞに乗って南下していく。

だけど、昇った日はいつか沈んでしまう。幸か不幸か原作でのハサウェイの結末だけは知っているんですが、ギギの結末は知らないので、自分の意思で鳥籠から飛び立った少し夢見がちなギギという少女の行く末が気になって仕方ないのです。


以上、キルケーの魔女をギギの視点から語った感想でした。1部では見えなかったギギの少女としての部分、クェスと重ねられる事が多い彼女ですが、クェスとは明確に違う一人の少女としての魅力を再確認した2回目の鑑賞でした。




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