Marumaru's TinyPlaza

(2017.05.18)(movie)ちはやふる

映画『ちはやふる』(上の句)、(下の句)


この脚本書いた人の取捨選択が格好良すぎる。そして尺が足り無すぎる。これが前後編通して観た時の最初の感想。

展開は1年の全国大会まで。これは観る前に予想していた通りでした。原作までもここまでは一気に進むし、これ以上は登場人物が一気に増えるし、何よりキリが良い部分ですよね。

とは言っても、前編111分、後編102分でマンガ6巻分の展開をまとめきった構成は本当にお見事。私は、やっぱりある程度の駆け足は仕方ないなぁ、思っていたんですが、一緒に観ていた原作未読の人は、流れがギリで分かったと言っていたので、必要な情報はちゃんと入っていた模様。

かるたの専門用語は登場はするものの、説明はしないスタイル。確かに短い尺の中で説明を入れるよりはスムーズで流れも自然だと思いました。

一番素晴らしいと思ったのは、最後の落としどころ……というかテーマを「かるたを通じてみんなと繋がりたい」にしたところ。戦いの熱でも三角関係の決着でもなく、かるたにしたところ。下手に恋愛映画になっていなくて本当に良かった。

試合の熱気については、ある程度かかれているものの、途中からは試合シーンを通じての心情描写を語るような感じでした。コナンの映画でもそうだったんですが、下手に試合内容を映像(アニメ実写問わず)で再現すると、色々と粗が出るのかな、と。

実際の試合シーンにどれだけ経験者が関わっているのかは分かりませんが、エンドロールを見る限り実際の高校やかるた関係の諸団体が全面的に協力をしている模様。

観終わって思いましたが、かるたを通じて繋がりと熱と青春を描くこの映画は、競技かるた界にとって完全にPVだよなぁ、と。そりゃ、競技かるたの団体も協力を惜しまない訳です。

下の句から登場の詩暢役の人の演技が特に上手いと思ったのを始めとして、登場人物全体の雰囲気が原作の雰囲気と合っていたのも良かった。外見じゃなくて、原作のキャラクタを演じる観点でキャスティングしている原作映画って良いですね。

そうなってくると、映画のメイキングやコメンタリとかも気になる訳で、レンタルで本編ディスクのみが入ったものを観たんですが、販売版についてくる特典ディスクが気になって仕方なくなりました。

とにかく、時間を考えるとこれ以上無い構成と出来だと思いました。演者さんのに関しては疎いので(かなちゃん役が君の名は。の三葉役の人ってぐらいしか分からなかった)、これからレビューを読み漁って、演者視点の記事を読むのが楽しみです。




<(2017.05.13)(book)ちはやふる34巻174首について (2017.06.13)(game)G級アマツを討伐した>