Marumaru's TinyPlaza

(2012.12.20)(book)浜村渚の計算ノート

『浜村渚の計算ノート』/青柳碧人


少年犯罪の元凶として学校教育から数学が排斥された日本。それに憤る数学者、ドクター・ピタゴラスこと高木源一郎が結成した「黒い三角定規」がテロ予告を行う。対抗すべく警視庁に設置された「黒い三角定規・特別対策本部」に迎えられたのは女子中学生、浜村渚だった…。

wikipedia「浜村渚の計算ノート」あらすじより


wikipediaのあらすじ紹介が完璧過ぎたので引用。

所謂、「人の死なないミステリー」です。数学復権を目論むテロ組織「黒い三角定規」から送り込まれてきた刺客と数学の知識を駆使して戦う短編集のような構成でした。これは1巻目でシリーズは後何冊か続いているみたいです。

目次の構成から話の展開、オチに至るまで数学……と言うか、数学用語的な知識を使っていて、「あー、昔こんなの習ったねー」って感じで懐かしく思ったり、忘れていることは調べ直しながら読んだりして、意味を知っているとニヤリと出来るものが多かったです。

短編集と言う構成もあり、事件を解決する「ネタ(決め台詞的なエピソード)」の部分の割合が大きく、ネタから逆算して話を作った感が漂っていました。確かに、計算や難しい公式をなるべく省いて分かりやすい話にするには、数学的なエピソードを使った方が分かりやすいですもんね。

面白いのが、「黒い三角定規」は数学好きが集まった集団なので、凶悪犯罪を起こしている犯人のはずなのに、渚の説得により理屈の矛盾点や数学愛を語られると、ガクっと肩をうなだれる展開は読んでいて気持ち良いです。水戸黄門の印籠シーンを彷彿とさせます(笑)

ただ、「人が死なない」と言う事や、その章で取り上げている数学雑学縛りと言う事もあって「黒い三角定規」との戦いが妙に児童小説……と言うか、朝のHNK教育でやっていた「さんすうすいすい」とか、その辺りの番組を思い出すような内容でした。「なぞなぞ対決」と言い換えても良いかも。

森博嗣の「S&M」シリーズのようなシリアスな展開を想像していたのでその部分はちょっと残念ですが、数学雑学をストーリー付きで楽しめる本として楽しめました。



残響 Twitterではみょんなことを……すいません。しかしまるまるさんは様々は本を読まれますよね。さらに新しく、なにかがあるのでは、みたいな。僕はいまは資料として本を読むことが多いので……それが悪いとはいいませんが、まるまるさんのようにきちんと作品世界に向き合い世界を大切にしてくださるのは、物書き志望としては嬉しいのです。
で、森博嗣ですか……いいですね。学生時代その透明で綺麗な、メタファーとしての「科学」に魅せられました。数式は詩である的な。 (2012/12/29 23:12:24)

Marumaru いやー、趣味で自分が好きそうだと思った本を読んでいるだけなのでそこまで言われる程の事ではないんですが。森博嗣は独特の世界があって面白いですねー。ああいう、理系の美しさのようなものは良いですねー。 (2012/12/30 21:48:30)


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