Marumaru's TinyPlaza

(2014.03.25)ミュシャ展に行ってきた

岡山方面に出掛ける用事があったので、シティミュージアムのミュシャ展に足を運んでみました。

この特設展の見所は、チマル博士と言う個人コレクター所蔵のミュシャコレクション、通称「チマル・コレクション」の初公開。

個人蔵と言うことで、代表作品のような派手さこそ少ないものの、スケッチやカレンダー、絵本の挿絵や切手デザイン、各種広告、それに写真や習作と言った幅広い種類の作品が公開されていて、ミュシャの魅力を色んな側面から感じる事が出来ました。

それに、チマル・コレクションに加えて、代表的な作品等も数多く展示されていて、総数実に160点以上。本当に見ごたえがありました。

ミュシャの魅力って言うのは、分かりやすさだと思うんです。何故ならミュシャの作品はポスターや、劇の看板画のような広告としての作品が多いから、「これを伝える」と言うテーマがすごく伝わってくるんです。ポスターなので、タイトルロゴを入れるスペースが用意されていて、そのロゴ自体やフォントを含めて作品としての魅力に繋がっていると思います。

なんと言うか、輪郭を強調したり、曲線を多用した構成の中に緻密な草や星や水等を配置する、所謂アール・ヌーボーの技法ってすごく現代のイラストに通じるものがあるんですよね。体の一部分が枠の外に出ている構成や人物を枠線で区切るような手法って、今でもCGで多く使われている表現だと思います。

そんな技法を100年以上前に確立させて、しかも今だと「CGならでは」の演出と思われているような曲線を多用した技法を手描きでやっている(時代的に当然ですが)ところに、他の西洋画とは一線を画したセンスの違いを感じずにはいられません。

難しく考えなくても、金髪の女性をモチーフに、細かい描写の背景や綺麗な枠線を使ってそのモチーフを魅力的に見せてる絵と言うのは、誰が見ても分かりやすく綺麗だと感じられると思うんです。

しかも、もとがポスターや劇場の入り口の大きな看板なので、作品のサイズが大きいんですよ。自分の身長を超えるような作品がわんさか。だから見ていて迫力があります。遠くから眺めて綺麗で、近づいて細かい描写を見てその描き込みの精細さに息を呑んでいました。

更に今回は今までのミュシャに対して持っていた派手なイラスト的イメージを覆させるような、言い方を変えれば地味な作品や、後期の祖国スラブへの帰属心によって作られた作品等を通じてミュシャの新しい側面を知ることが出来ました。

宗教画については知っていたんですが、ジャンヌダルクやギリシャ神話、本の挿絵、エンブレムや装飾デザインまで、本当にミュシャって何でもやっていたんですね。どんなジャンルにおいても変わらない魅力を発揮するミュシャが改めて好きになりました。




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