Marumaru's TinyPlaza
(2019.06.25)(book)「恋のツキ」完結によせて
『恋のツキ』/新田章
小さな幸せを探すのが得意な事と幸せの閾値が低い事は同義なのだろうか。
世間一般に言われる「幸せ」な生活、家庭を築いている人を否定するつもりは全く無い。世間で言われる普通の幸せなるモノは、あらゆる面で減点要素が無い(若しくは全てが及第点以上)であって、その実現にはとてつもない努力が必要な事は明確なのだから。
時間と共に可能性が狭まってゆき、選択肢が減っていく。その中で、自分の求める幸せの形は他の人とは違うと気付く。世間の幸せが選べない。選ぶことはもう出来ないのだと思うのではなく、自分には不要な選択肢だったのだと切り捨てる。
それは諦めにも似た強がりなのかもしれない。
しかし、結局は自分が納得しているのか、自分は幸せなのか。それが全てなのだ。世間から見た自分と言う名の枷は、負い目があればあるほど重く自分にのしかかる。自分が決めて自分に責任を持って自分が幸せなのであれば、誰に負い目を感じる事も無い。世間の目に一喜一憂する余裕や意味など無駄だと、覚悟を決めて胸を張れば良い。
人生は賭けだ。そんな中で、自分の選んだ選択を負けても悔いの残らない賭けだ、と言い切れる主人公ワコはまさに達観の境地に至っていると思う。
最初の問い掛けの答えが大切なのではなく、幸せだと思う人生を歩む事が大切なのでもなく、自分が選んだ道の先にある禍福を全部ひっくるめて楽しんで、結果幸せの方が多かったと思える心が何より大切なのかもしれない。