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(2020.06.11)(book)その着せ替え人形は恋をする 5巻

『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』5巻 / 福田晋一


この本のタイトル、着せ替え人形と書いて「ビスクドール」と読ませるのを初めて知りました。kindleで買ってさくっと読んでたからルビまで読めていなくて、ずっと普通に着せ替え人形って言ってた気がする。ビデオガールを電影少女と言っていたような何とも言えない恥ずかしさ。

この巻は一気にラブコメに寄せてきて驚きました。この漫画は最初の掴みは最高だったものの、3,4巻辺りで登場人物が増えてきて、正直少し話が散らかってきた感じがしていたので、これは嬉しい限りです。

で、このシーンですよね。読んだ人にしか何をしているシーンなのか分からない訳ですが。

『その着せ替え人形(ビスクドール)は恋をする』5巻より


この巻のラブコメ展開、まるでりぼんのようなベタべタな感じで「いや、そうはならんやろ!」の連続だったんですが、上のシーンはその最たるもの。しかし、この見開きシーン、本当に映えますね。もともと服飾の描き込みが尋常じゃない作者なのに、表情とか色々と最高過ぎて。

それと最後の携帯電話のシーン好きです。電話で声のやり取りをしているけれど、電話の向こうには今話している相手の姿が浮かんでいる。距離は離れていても、心は繋がっているみたいな。どっちかと言うとPC越しのやりとりで使うような表現だと思っていたんですが、電話でこの表現を真っ向から使っているのが一回りして新鮮だなーって。

この漫画ってもともと、雛人形制作で培った技術を活かして洋装のコスプレ衣装制作をする事で、それぞれの装いの技法や様式の素敵な部分を知って、好きが昇華していく。その過程での衣装制作のすったもんだがあって、話を引っ張っていくのは喜多川と五条の人間関係って話だと思っていたんですが、5巻は衣装制作よりもがっつりとラブコメしてましたね。

人数が多くなって色々と話が散らかって薄まるのよりは、メインの二人を掘り下げてくれる方が嬉しいんですが……方向性を模索しているのかな。何はともあれ、コスメの事や服装の事、装飾の描き込みとかも含めて、女性作家ならではの良さが作品のテーマに活かされている作品だと思うので、続きが気になるところです。

女性作家で思い出しましたけど、喜多川が浴衣を着るシーン、(白黒だから違うかもしれませんが)黒地の浴衣に白い花が線画のように入っている割とどうぎった浴衣でしたが、男性作家だともっと可愛い浴衣を着せるんじゃないかな、と思ったりしました。




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