Marumaru's TinyPlaza
(2024.09.14)(book)夏の終わりに君が死ねば完璧だったから
『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』/斜線堂有紀
図書館でたまたま見つけた本。
家庭環境のあまりよろしくない中学生男子が、町にあるサナトリウムの近くで大学生の女性に出会う。その女性は俗に『金塊病』と呼ばれる病気で、余命いくばくかの身であった。その二人がひと夏の心のやり取りを描いたお話。
あれですね。新海誠監督作品のような表紙のライトノベル。古くはアルジャーノンから、恋空から、Kanonから、私達の世代が青春時代に過剰と言えるほどに摂取したお話し。なんですが、ついつい読んじゃうんですよね。
人の死という物語におけるジョーカーを使っている話ですが、タイトルや序盤でヒロインが病気で亡くなる事が明言されています。最近の流行りと言うか、ある程度内容が分かった上で話を読むのが安心に繋がるのでしょうか。
ですが、話は綺麗にまとまっていて、伏線の回収も綺麗。最後も希望が持てる終わり方で、寝る前にさくっと読むには本当に最適な本でした。
亡くなると身体が金になる病気で、亡くなると献体として3億が手に入る。という少し突拍子もない設定ですが、人が亡くなる事で価値が発生する場合、その人との愛情の価値をどうやって証明出来るのかという話。愛という目に見えないもの、二人の間に確かに存在するそれの存在をどう描いていくかというのは恋愛ものの普遍のテーマですね。
二人の交流のキーになるチェッカーというボードゲームの存在が物語に上手く絡んでいて、本当に綺麗にまとまった話だと思いました。