Marumaru's TinyPlaza

(2025.02.25)(book)マリアを運べ

『マリアを運べ』/睦月 準也


アガサ・クリスティー賞を獲った作品。運び屋がとある薬を運ぶ、という単純明快な目的で突き進む作品。到着期限の時刻が結構先でえらく先の時間を指定するんだな?と思っていたら到着までの時間にパンパンに詰め込まれたイベントの数々。なんとなくトラック野郎を思い出しました。

行く先々で様々な勢力に狙われたり、行く先々に協力者が現れたりとご都合主義な感じはありますが、だからこそのエンタメ!という感じでした。未成年の運び屋少女が繰り出すハイスピードな展開は映画を観ているような感覚です。非常に映像化しやすそう、劇場版アニメと親和性高そう。

そして、タイトルの付け方が良い。途中でタイトルの意味に気づいてからタイトル回収までの流れが気持ち良かった。そこに絡めて久々に伏線に読みながら気づいた作品。普段は物語に没頭しちゃうから伏線に最後まで気づかない事が多いんです。

後半がちょっと蛇足気味な感じはしましたが、シンプルなストーリーと少ない登場人物で駆け抜ける展開は読後感が良かった。軸がぶれていないのでどんな要素がついても枝葉として上手く機能していたように思います。

余談ですが、公募新人賞の受賞作と言う事もあり各選者のコメントが載っていましたが、選者が選考の為に読む場合の観点が興味深かったです。




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