Marumaru's TinyPlaza

(2021.09.30)(book)SpottedFlower5巻

『Spotted Flower』(5巻)/木尾士目


いやー、こっちも新刊が待ち遠しかった。連載誌の関係で2~3年に一冊しか出ないのに、30分したらまた数年待たされる罪な作品。

3巻で起こった衝撃的な出来事から転がり始めた色んな人間関係。その事自体よりも、人と人との繋がりが織り成す世界の中で、本人の預かり知らぬところで新たな思惑が芽生えて、新たな火種が生まれていく。そんな人間関係における「風が吹けば桶屋が儲かる」を描いたような話なので読んでいて面白い。なんだっけ、ペルソナも噂が世界を作っていくとか、そんな話なんだっけ。

しかし、自分の中でBLは絶対にあり得ないって思っていたんだけど、BL自体がどうこうじゃなくて積年の想いや思慕の感情を丁寧に描いた上で、たまたま好きになった人が男だってってパターンなら、そこまで違和感なく読める気がする。目的じゃなくて手段として描いてるから。だけど、その事がきっかけの痴情のもつれで人間関係がカオスになってて……いいぞ、もっとやって!

笹原のあの行動を見て「あれ?」って。彼ってノーマルだったはずなんだけど、長年のオタク生活と現状の暮らしの中でそういうに目覚めちゃったのか、もともとそういう素養があったのか。

この作品を読んでると、好きの対象における性別はそんなに大した問題じゃないような気になってくる。良いとか悪いとかじゃなくて、そういうのはその枠の中に居る関係者達の問題なのであって、外野がどうこう言う問題じゃないよね、って。

あー、6巻が待ち遠しい。



(2021.09.30)(book)invert 城塚翡翠倒叙集

『invert 城塚翡翠倒叙集』/相沢 沙呼


medium 霊媒探偵城塚翡翠の続編。mediumが衝撃的だったので発売を知ってから楽しみにしていました。mediumの最後で明かされる結末からの続きなので、読むならmediumから。

今回は3篇の中編集。1篇目、2編目で助走を付けてからの3篇目がさすが、という感じ。読者視点を意識したりミステリ作者の苦悩を描いたり、結構メタ的な部分もあるけれど、解決編の中で語らえる事はちゃんと伏線として文中に示されてるので気持ち良い。関係ないけど、「読者への挑戦」がちゃんと用意されてるのって結構珍しかったりするのかな。漫画だとコナンや金田一がやってるから違和感ないけど、小説でちゃんとなされているのは結構珍しいのかも。

しかし、作品としてどうこうよりもヒロイン兼探偵の城塚翡翠のキャラクタが好きかどうかが全ての作品だと思う。過剰なぶりっ子、所謂オタサーの姫的な振る舞いの中から垣間見える本音。いや、それすらも城塚翡翠の計算された演技なのかも、という感じで城塚翡翠劇場を堪能させて貰っているような作品。

私もそうだけど、オタク気質の人は楽しめると思う作品。




<(2021.09.23)(movie)バック・トゥ・ザ・フューチャー3 (2021.10.19)(book)もし僕らのことばがウィスキーであったなら>