Marumaru's TinyPlaza

(2022.09.23)(book)ハヤブサ消防団

『ハヤブサ消防団』/池井戸潤

都会でミステリ作家をしている主人公が、ふとした事から亡き父の家がある田舎を訪れ、その土地の自然に魅入られてそのまま父の家に住む話。「消防団」は田舎の象徴ですが、それに限らず、祭り当番や自治会、墓守やお寺さん等、田舎ならではのコミュニティで過ごす姿を描いています。

そんな田舎の町で巻き起こる、連続放火騒動を発端とした事件。田舎程ちょっとした事が事件になるものですが、だからこそ正常性バイアスが働くもので、何だかんだと過ごしているうちに田舎の町は大変な問題に侵食されていた。そんなお話。

分かりやすい恐怖に晒される田舎町ですが、本当に怖いのは恐怖の元凶そのものではなく、人間関係が作り出す噂や疑心暗鬼、そう言った目に見えないだと改めて思わせてくれる作品でした。

どんなものでも、人が居なければ何も出来ない。人が集まると人間関係が生じ、それに伴う目に見えない概念が色々と出現する。お互いの心の中にある恐怖、思い込みこそが怪異なのであって、人間が居なくなってしまえば後に残ったものはただの抜け殻だったのかもしれない。

そんな事を、田舎ならではの濃い人間関係の中で展開していました。

登場人物が結構多いのと、同じ人でも名字で呼ぶ人と名前で呼ぶ人が居て、ちょっと人間関係が分かりにくかった。私の読解力不足なんですが、寝る前に読んでたらちょっとこんがらがった。あと、田舎あるあるが多いので田舎住まいの人はその部分を楽しんで読めるかも。




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